研究課題/領域番号 |
23650511
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古賀 信吉 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30240873)
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研究分担者 |
網本 貴一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60294873)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 科学教育 / 科学的能力 / 評価 / 高校化学 / 大学入試 / 探究学習 |
研究概要 |
1.入試問題の分析・評価とモデルパターンの抽出:国内外の大学入試問題「化学」について,各国の大学入試問題を内容的および構造的観点から比較検討した。また,「化学反応の基礎概念」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」に関する入試問題を例として,その構造的特徴と科学的能力の評価問題としての有用性の観点から分類した。2.科学的能力の分類と評価内容の設定:科学的能力の育成を目的とした教育実践の事例を精査し,学習活動により育成を目指す科学的能力を基礎知識の応用,論理的思考,およびプロセススキル等の観点において種々の項目に分類した。これらを基にして,大学入試において評価すべき科学的能力の内容と項目についての検討を行った。3.入試問題の骨格モデルの開発:過去の大学入試問題「化学」から,上述2で抽出した科学的能力の項目を評価するために有用と考えられる問題を典型例として抽出し,それぞれの入試問題の構造を参考にして,科学的能力評価のための試験問題の骨格構造モデルの開発に取り組んだ。4.身近な化学素材の探査:「化学反応の基礎概念」,「環境化学の理解」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」をテーマとして,科学的能力の評価問題作成のための身近な素材の探査を行い,種々の化学素材を活用した探究的実験教材を開発した。これらを活用した学習活動により育成が期待される科学的能力の分析・評価を行い,それらの素材を題材として,上述1,2,3,4の成果に基づいて科学的能力の評価問題を試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究項目のうち,文献調査による入試問題の分析・評価および科学的能力の分類と評価内容の設定については,資料収集ならびにその分析・評価の両方において計画通りに進展している。これらの成果により,本研究で開発を目的とする科学的能力の評価問題の典型例の抽出や評価すべき科学的能力の項目化の作業も可能となっている。身近な化学素材の探査とその教材化については,「化学反応の基礎概念」,「環境化学の理解」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」をテーマとした種々の探究的な実験教材の開発に成功し,さらにこれらの素材を題材とした科学的能力の評価問題の試作まで研究が進展している。上述の成果は,当初の計画に則したものであり,今後の研究展開の基盤となるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を基盤として,今後,「環境」,「エネルギー」,「新素材」など化学教育の新たなテーマを題材とした過去の大学入試問題および科学的能力の育成を目指した教育実践事例に文献調査の範囲を拡大し,試験問題の分析・評価と学習活動により育成を目指す科学的能力の項目化を通じて,評価問題のモデルパターンと骨格構造モデル開発のためのデータベースの充実を図る。身近な素材を用いた実験教材の開発とそれを題材とした科学的能力の評価問題の開発においても,「環境」,「エネルギー」,「新素材」などのテーマへの拡張を目指す。さらに,試作した評価問題を大学生を被験者とした模擬試験に供し,その科学的能力の評価問題として実用性について実践的に分析・評価に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては,文献調査研究および教材開発研究のための資料,教材実験の消耗品ならびに薬品,文献調査結果のデータベース化のためのOA機器関連消耗品などの物品費を使用する(600,000円)。次年度使用額6,229円は年度をまたぐ継続的な研究推進の過程で生じたものであり,次年度の物品費に加えて使用する。また,国内で開催される学会における研究成果発表のための旅費を使用する(150,000円)。さらに,教材開発研究のためのアルバイト謝金を使用する(50,000円)。
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