研究課題/領域番号 |
23650511
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古賀 信吉 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30240873)
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研究分担者 |
網本 貴一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60294873)
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キーワード | 科学教育 / 科学的能力 / 評価 / 高校化学 / 大学入試 / 探究学習 |
研究概要 |
1.入試問題の分析・評価とモデルパターンの抽出:国内外の大学入試問題「化学」について,内容的および構造的観点から比較検討した。また,「化学反応の基礎概念」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」に関する入試問題を例として,その構造的特徴と科学的能力の評価問題としての有用性の観点から分類した。これらの研究は,前年度から継続的に推進した。 2.科学的能力の分類と評価内容の設定:高等学校化学において探究的な学習活動を取り入れた授業を実践し,事前および事後調査により,基礎知識の応用,論理的思考,およびプロセススキル等の観点から,育成される科学的能力の内容と項目を精査した。これらを基にして,大学入試において評価すべき科学的能力の内容と項目および評価の尺度についての検討を行った。 3.入試問題の骨格モデルの開発:上述1および2の成果を基にして,科学的能力を評価する問題の骨格構造の開発に継続的に取り組み,評価する内容および項目に応じた10パターンの骨格構造モデルを開発した。 4.身近な化学素材の探査:「化学反応の基礎概念」,「環境化学の理解」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」をテーマとして,科学的能力の評価問題作成のための身近な素材の探査を行い,種々の化学素材を活用した探究的実験教材を開発に継続的に取り組んだ。 4.上述1,2,3,4の成果に基づいて科学的能力の評価問題を試作した。また,試作した評価問題を試行テストに供するための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
入試問題の分析・評価,科学的能力の分類と評価内容の設定,および評価問題の骨格構造モデルの構築についての研究項目は,計画した研究を遂行し,最終年度の研究推進の基盤となる一定の成果を得た。また,身近な化学素材の探査とその教材化については,「化学反応の基礎概念」,「環境化学の理解」,「無機化合物の性質と反応」,および「有機化合物の構造・性質と反応」をテーマとした種々の探究的な実験教材の開発に成功し,これらの素材を題材とした科学的能力の評価問題の試作を進めた。さらに,最終年度における試作問題を用いた試行テストの準備も整いつつある。上述の成果は,当初の計画に則したものであり,最終年度の研究展開を円滑に推進することができる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を基盤として,身近な素材を用いた実験教材の開発とそれを題材とした科学的能力の評価問題の開発に継続的に取り組む。また,試作した評価問題を大学1年生を被験者とした試行テストに供し,その科学的能力の評価問題として実用性について実践的に分析・評価に取り組む。さらに,研究期間の最終年度にあたり,研究を総括し,大学入試において広義の科学的能力を評価することの実現可能性とその具体的方策について提言する。
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次年度の研究費の使用計画 |
教材開発研究のための資料,設備備品,教材実験の消耗品ならびに薬品,文献調査結果のデータベース化のためのOA機器関連消耗品などの物品費を使用する。また,学会における研究成果発表のための旅費を使用する。さらに,教材開発研究のためのアルバイト謝金を使用する。その他の費目において,研究成果公表のための英文校正と学会参加費を支出する。
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