研究課題
本研究はエコツアーを体験型環境教育ツールとして利用し、一般市民に対してこれまでの研究成果を平易な表現により地球・地域環境問題の原因、プロセス、軽減と防止手法、ひいては社会の持続的発展のあり方を考究する「時と場」を提供するための方法論の確立を目的とした。本年度は以下の項目について研究を実施した。1)座学による環境教育の実施:前年度までに得られた成果に基づき、中央アジア・カザフスタンの灌漑農業によるアラル海生態系の破壊と農耕地土壌の劣化をテーマとして、その原因、現状、今後の対策について、大学学部1年生を対象として、座学により教育を行うとともに自発的な情報収集と解析をさせた結果、学生に基礎的な情報を理解させ、学生自身の興味を発掘することに成功した。2)エコツアーを含む環境教育教材の開発:上記の問題をテーマとしたエコツアーを、現地調査により得られた研究結果に基づき、具体的に企画・立案するとともに、環境問題を取り扱うエコツアーの一般市民(学生を含む)への周知をより効果的に実施するためのツールとして広報DVDを開発した。3)エコツアーの環境教育効果の評価:1)の学生を対象として、2)で開発されたエコツアー「水田にされた砂漠:なぜアラル海は消えねばならなかったのか?」を実施した結果、1)に加えて、参加者の環境保全、自然保護、持続的社会の構築などへの潜在的関心をより強く喚起するとともに、実体験により強烈に裏付けられた当事者意識が醸成され、将来のより良い社会の構築のための参加者の自発的・自律的行動へと発展する環境教育効果が大きいと考えられた。4)受賞:本研究の一部に対して2013年度日本土壌肥料学雑誌論文賞ならびにSSPN Awardが授与された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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