研究課題/領域番号 |
23650519
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
剣持 信幸 佛教大学, 教育学部, 教授 (00033887)
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研究分担者 |
黒田 恭史 佛教大学, 教育学部, 教授 (70309079)
深尾 武史 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00390469)
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キーワード | 数学的活動 / 数学的モノづくり |
研究概要 |
本研究は「地球温暖化現象」をテーマに、学校現場で生徒が取り組む≪数学的活動≫の教材開発及び授業設計を目的として計画されたが、東日本大震災の直後であったことから、急きょ新たに「災害からの復興」もテーマに加え、教材化の準備段階として、人間生活・経済復興の数理モデル自身の構築にも研究の重点が置かれた。その研究結果は本研究組織とワルシャワ大学ICM研究所との共催で、2012年11月、京都で開催された国際ワークショップで発表された。 本研究の目的の1つは、モノづくりを基調にした≪数学的活動≫の理念の確立であるが、東日本大震災からの復興をテーマにした数学的活動を考えることで、「数学的モノづくり」の新しい側面が明確になってきた。我々の教材化の手法は「モデル化学習」を採用することであるが、これまで学校現場の算数・数学学習教材として取り上げることが稀であった事象に対しても、積極的な算数・数学を活用した数理的接近を≪数学的活動≫の授業設計の中で実践していくことの重要さが再認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の本研究の最終目標は、≪数学的活動≫について、これまで述べられてきた多種多様な意見を総括し、教育現場にフィットしたその理念を確立することであった。東日本震災直後でもあったことから、「大災害から復興」をテーマに加えたことで、学校教育の中で≪数学的活動≫の担う役割が従来とは違うことに気がついた。従来の主点は、事象を過去の(数値的)データをもとに、そのメカニズムを解析し、それによってその事象をより深く理解し、将来の推移を予測しようというものであった。新たな視点は、我々が模索する近未来の人間生活環境のデザインをもとに、その具現化が可能であるかどうかを、数理科学的立場からモデル化を行い、その数値シミュレーションを通し探ることである。 この視点を基盤にした学校教育での≪数学的活動≫のための教材は、従来のそれと比較すると、極めて柔軟で幅広く、授業設計の在り方もそれに応じ考え直す必要があるが、その輪郭が見えてきたと言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更点はない。 1.「東日本復興デザイン」をテーマに、社会科学等とも関連して人間生活と地域産業・経済の復興デザインを≪数学的活動≫として再現し、授業設計を行う。これは、昨年より始められているが、高専での実践を行う。また、「地球温暖化」をテーマにした、≪数学的活動≫の授業設計についても、その完成を目指す。 2.国際ワークショップ(11月、於:ミャンマー)に向けての研究成果発表の準備を進める。 3.現場での授業実践は、可能な限り、ビデオとして記録し、≪数学的活動≫を伴う教材開発の手法を習得するための教材研究用ビデオの編集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.平成24年度11月にポーランドのICM(ワルシャワ大学)と本研究組織のメンバーが主体となり開催した国際ワークショップ(Polish-Japanese Days)の報告集を出版する。共同研究資料として、参加者に報告集を配布する。報告集作成及びこれに関わる費用として基金から40万円を助成する。 2.11月にミャンマーで開催される科学教育に関する国際ワークショップに参加し、本研究の成果を発表する。発表者(2名)の旅費として12万円×2人=24万円を基金より助成する。 3.年度末数学教育研究会(於:京都)の開催費として15万円を基金から助成する。 4.国内旅費:(研究打ち合わせ)京都⇔東京 5万円×2回=10万円、京都⇔広島 3万円×1回=3万円 (研究成果発表旅費) 京都⇔東京 5万円×2回=10万円 合計23万円を基金から助成する。 5.その他(論文別刷代、消耗品費 等)6万円 (平成24年度の未使用金について)ミャンマーの国際ワークショップ開催委員より、開催予定(11月)の会議に参加し我々の研究成果を発表して欲しいと、平成25年1月に要請があった。それを受けて平成24年度の配分額から約8万円を未使用にし、同国際ワークショップに出席するための旅費の助成の1部にあてることとした。
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