研究課題/領域番号 |
23650524
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 邦雅 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (30399802)
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研究分担者 |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
西森 敏之 北海道大学, -, 名誉教授 (50004487)
安藤 厚 北海道大学, 高等教育推進機構, 研究員 (20012510)
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キーワード | デジタルペン / 添削 / クリッカー |
研究概要 |
本年度は、多数のデジタルペンの使用に対応するためのソフトの仕上げを行う予定であったが、まずはBluetoothの規格である最大7デバイスの状態での動作を快適にするためのプログラムの改善を行った。 前年度までの基本的な機能を備えたソフトの動作確認において、たまにデータの欠損が起こることが確認された。具体的には、デジタルペンで描かれた図において、軌跡の一部が完全な直線として保存される現象である。このソフトでは、非常に短いスパンでペン先の位置情報を直線でつなぐことで滑らかな曲線として手書きの軌跡を保存している。しかし、ペン先の位置情報がある区間で取得・保存できなかった場合、その部分の位置情報はないものとして、最後に取得した位置と新たに取得され始めた最初の位置が直線で結ばれ長い直線部分ができる。これは、デバイス的な理由で生じるのかプログラム的に生じるのか判断が難しいが、今年度はプログラムをC#3.0に対応させ、動作速度を上げることを模索し、ソフトの動作を軽くすることに努めた。 まず行ったことは、C#3.0を使った新スタイル手法の書籍を購入し勉強した。そして、有用だと思われる以下の手法をコードに取り入れた。①ラムダ式を導入してコードを短くし、可読性を上げた。②多数のペンを扱うコードを書いているのでFor分による繰り返しが非常に多い状態となっていた。そこでForに代わってForEachを導入することで速度を上げ、また可読性を向上させた。③3.0でジェネリックが導入されたため、今まであらゆるデータの格納のたびに使用していたArrayListクラスの使用を控え、ジェネリックのLinkedListクラスを使用するように変更し、処理速度を格段に上げるようにした。④varを使用してコードを短くし、可読性をあげた。⑤その他、ソフトが例外を出すことを確認した場合に、そのつど例外処理の対応も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
この研究はアノトペン(ADP-301)という特殊なデジタルペンを利用して行っている。このデジタルペンはBluetoothによってパソコンに接続できるが、Bluetoothの規格によって最大7つまでしか接続できない。そこで、Bluetoothアクセスポイントという機器を利用して8本以上のデジタルペンを接続する。このBluetoothアクセスポイントについては株式会社インターソリューションマーケティングのPara-MSP1000を購入済みであるが、ADP-301を接続するためには、専用のファームウエアをインストールする必要がある。このファームウエアについては、2011年6月21日に、「ADP-301用ファームウエアは一度開発は完了したが追加の仕様により現在開発中。数ヶ月(1-2か月(予定))後になる予定。進捗があり次第知らせる。」という連絡を受けて以来、約2年間連絡はなく、問い合わせにも返答しない状況になった。 株式会社インターソリューションマーケティングはPara-MSP1000の販売に関して代理店であるため、アメリカの本社Sena Technologies, Inc.に問い合わせたところ、開発途中のテストファームウエアを提供してくれた。しかし、このファームウエアは開発を中止しているとのことであった。それは、ソフトウエアによるが、ADP-301はバッファが少なく、大きなパケットをMSP1000に送信するが、RF干渉が起こったときにデータ欠損が起こりやすく、20本程度が接続の限界とみられるということであった。 これにより今後まず、このテストファームウエアでの接続テストを行う必要が生じている。また、ペンの本数に10~20程度の限界があるようであれば、複数のパソコンを共有する方法を考えて行く必要が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は、構成したソフトウエア試用を行い、ソフトウエアの修正を実施してゆく予定であったが、規格的に大量のペンの接続に問題があることが発覚したため、この対処方法の考察と試行を行うことになる。 まず行うことは、入手したBluetoothアクセスポイントのテストファームウエアで何本まで正常動作するかをチェックすること。そして、RF干渉を抑える方法についてのテストである。 ソフトウエア(自前作成)、デバイス((株)アノトのデジタルペン)、ソフトウエア開発キット((株)大日本印刷)のいずれかにおいてペン接続に10~20本程度の限界が生じるようであれば、1つのBluetoothアクセスポイントで全てを受信する方法は諦め、複数台のパソコンを連携させる方法を模索する。これにはネットワークプログラミングの手法を把握し、複数のパソコンからのデータを収集して親機パソコンで集約して扱うソフトウエアの構成をめざすことになる。この方法は複数のパソコンが必要になるデメリットがあるが、Bluetoothアクセスポイントという一般的ではなく、高価な機器を利用しないというメリットもある。 とりあえず、いずれかの方法により23本のペンの利用で安定した動作の実現をめざし、研究代表者山田が担当している一般教育演習(23名受講中)において試用することを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
複数のパソコンのデータを統一的に扱うアプリケーションを作成するために、ネットワークプログラミングの書籍とC#4.0、5.0の書籍を購入する。
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