研究課題/領域番号 |
23650525
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文学部, 教授 (20323199)
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研究分担者 |
舟生 日出男 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20344830)
久保田 善彦 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90432103)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ノート・テーキング / 協同学習 / 協同作業 / 議事録 / 継続的作業 |
研究概要 |
本研究のゴールは、話し合いや情報共有をとおして行われる協同学習において、活動内容のノートを的確に作成し、それを協同学習の遂行に活かしていくためのノート・テーキングスキルの育成を支援することである。具体的には以下の3点に取り組む。(1)協同学習に特化したノート・テーキングスキルの明確化、(2)上記スキルの訓練手法の提案、(3)上記訓練手法を実施するための学習支援システムの試作である。今年度は、予備調査として、文献調査と協同学習におけるノート・テーキングの実態調査をおこなった。文献調査では、一般的ノート・テーキングのみならず、議論プロセスを支援する議事録構成等に関する文献を調査した。協同学習のためのノート・テーキング実態調査では、大学生の議論(協同問題解決型の議論)をフィールドとして、かれらが議論の経緯をどのように記録していくのかを観察した。デジタルペンの技術を利用して、協同作業に関する議論に従事する中で、参加者らがどのようなノートを残していくのかを記録し分析した。この観察により、参加者らのノートには、議論の構造的な流れに関する情報が残されず、そのことにより、次回の協同作業においてノートが十分に利用できていないことが明らかとなった。その情報とは、特に、感情的動き、議論の分岐点、排除された意見とその経緯に関する情報である。以上より、協同学習のためのノート・テーキングスキルとして、協同作業や議論の歴史的経緯を記録するスキルの重要性が指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノート・テーキングに関する文献調査および、実態調査についてはおおむね順調に進展している。文献調査では、会議議事録の作成プロセスや支援に関する研究に視野が広がったため、当初の想定を越えた示唆が得られている。実態調査では、データ収集の方法の確立に時間がかかった。それにより、実態調査の分析の一部が次年度に持ち越しとなっているが、研究全体のスケジュールには影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
実態調査から得た知見に基づき、協同学習に特化したノート・テーキングスキルの訓練手法を開発する。感情的動き、議論の分岐点、排除された意見と排除の経緯に関する情報が重要であるにも関わらずノートから抜け落ちることが確認されているので、それらの情報を記録するための支援手法・訓練手法を提案する。現時点では、携帯端末を利用して、これらの情報をリアルタイムに入力できるようなノート・テーキングツールを利用し、議論後に、自分のノートを次の議論に活かせるものか否かという視点から再検討するような訓練を考えている。この訓練は、プロジェクトベースド学習の中で、これらの情報の記録を体験するような教材を想定している。例えば「大学における駐輪場問題への解決策を立案する」といったプロジェクト教材を用意し、そのプロジェクトの中の複数の局面で、上記のシステムを利用したノート・テーキングと振り返りを行うような形式である。
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次年度の研究費の使用計画 |
訓練手法確立のための実践実験をおこなうために、デジタルペンを購入する。これは、被験者が取ったノートをリアルタイムに記録するためのものである。また、データ整理のために学生アルバイトを雇用する。研究打ち合わせと学会での成果発表のための旅費も計上する。
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