研究課題/領域番号 |
23650527
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
宮寺 庸造 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10190802)
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研究分担者 |
中村 勝一 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (60364395)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 形式的モデル / 教材の動的構成 / eラーニング教材 / 教材構成メカニズム / 教材管理手法 |
研究概要 |
現在のeラーニング教材は,校種やレベルなど想定された範囲を対象とした固定的な1つのパッケージ化されたものが主流となっている.これら教材は,eラーニングシステム上で完成された状態で管理され,一度登録されると部分的な追加や変更には即座に対応できないのが現状である.これでは,日々変化する事例や判例など常に最新情報を必要とする教材や,学習者の理解度に合わせた教材片のダイナミックな差し替えなどには不向きである.そこで本研究では,教材をこれまでのパッケージ化されたものとして捉えることを改め,教材片による集合体として捉える,新しいパラダイムの提案により上記問題点の解決を試みる.本研究は,教材を構成する最小単位(以下,教材片)を,個々に独立に管理し,学習者にその時点での最適な教材を動的に構成・提供するメカニズムの開発を目的とする. 平成23年度は主に,教材片の抽出とモデルの開発を目的として以下の手順で実施した.(1)基礎データの収集:教材片を抽出し,それらが教材としてどんな関係構造を持ち,どんな場面でどのように利用されるかなどを分析し,様々な観点で分類した.ファシリテータからのリクエストに応じ,学習者に最適な教材片を組織化し教材として構成するための,属性情報や制約を抽出することも考慮した. (2)教材片の抽出:(1)で収集した基礎データをもとに,教材やコースウェアを構成する教材片の種類を抽出した.さらに,連携による組織化が可能な属性情報抽出も併せて行った. (3)教材片の関係・構造把握:(2)の結果を用い,教材片間の 係構造の分析,学習内容と教材片関係構造との対応分析を行った.その結果,各教材片の教材内の扱いや教材片間の関係などが表現可能な,教材片の構造化モデルを定義した. (4)教材片の形式的モデルの開発:(2)(3)の結果をもとに,教材片の形式定義を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りのステップで,予定通りのスケジュールで進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当初の予定通りに遂行する予定である. 具体的には,以下の手順に従い,教材管理手法と教材構成文法の開発を着手する.(1)教材管理手法・教材構成文法の開発:昨年度開発した教材片モデルから,教材の管理手法および学習者の状況や目的に合わせ最適な教材片を組織化する文法を開発する.これには,教材片が持つ様々な属性情報の連携が重要である.本文法の開発にはプログラム言語の属性文法定義を応用し,属性や制約を考慮した有意味な教材を構成可能としなければならない.本研究の重要なステップであり,今後の研究に大きく作用する.そこで,形式言語の扱いに慣れている宮寺を中心にメンバー全員で取り組む.(2)教材の動的構成メカニズムの開発:(1)で開発した文法を処理するメカニズムの開発をする.この結果は,処理系のプロトタイプの設計にも繋がる.そのため,モジュール開発の担当である櫨山と宮寺を中心に,メンバー全員で議論しながら進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主に,教材片管理モジュール・教材構成モジュールの開発に着手する予定である.プロトタイプシステム開発用のマシンを主な備品として,成果発表のための旅費や開発補助,開発委託のために,研究費を利用する予定である.
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