大学などにおける研究コミュニティでの真正な研究活動に必要な知識やスキル(コミュニティ知)の進化・継承を図るWeb上のオンラインコミュニティ支援環境を開発することを目的として、コミュニティ知の持続的進化・継承モデルを構築し、コミュニティ知の共有・適用・洗練および学びあいを支援する手法を開発した。最終年度の本年度は、次の1~3を行った。 1.オンラインコミュニティ支援環境の構築:これまでに開発してきたコミュニティ知の持続的進化・継承機能を統合し、blogエントリを介してコミュニティ知の共有・適用・洗練・学びあいの支援を可能とするHyperblogシステムを開発した。本システムは、これらの支援の基盤として、コミュニティメンバの要求に応じて適切なblogエントリを探索・推薦する機能を実現している。 2.有効性評価実験:開発したHyperblogシステムを中期的に研究グループで利用する実験を行い、コミュニティ知の持続的進化・継承支援の有効性を確認した。同時に、blogエントリはテキスト情報として表現されることが多く、コミュニティ知に関わる文脈情報を明瞭に表現しにくいため、知の継承が難しいという問題点を見出した。また、他の研究グループの協力を得て、Hyperblogシステムの支援機能について意見聴取を行った。その結果、研究コミュニティに限らず学習コミュニティ全般に該当することとして、コミュティ知の学びあいや継承には、知に関連した文脈情報を顕在化しておくことが不可欠との知見を得た。 3.支援環境の洗練:2で得られた結果を踏まえて、Hyperblogの支援機能を洗練した。特に、blogエントリとしてテキスト情報以外にビデオ情報を取り扱い可能とし、コミュニティ知の文脈情報を可能な限り表現できるように改良した。また、コミュニティ知がどのような文脈から得られたかを簡単に記録する枠組みを取り入れた。
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