研究課題/領域番号 |
23650535
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大島 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (70281722)
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研究分担者 |
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00324898)
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キーワード | カリキュラム / 教授法開発 / ナノサイエンス |
研究概要 |
本研究の目的は,ナノサイエンスを具体例として,社会の先端科学の発展に寄与する高度な研究者の育成を目指した戦略的な教育カリキュラムの設計を,専門的な教育に入る準備段階にあたる初等中等教育カリキュラム(具体的には,理科)で実現することである.この研究では,世界的に評価の高い日本の初等科学教育における学習活動の構造が持つ特徴と,それを先端科学の基本概念の学習に連動させる知識創造型学習カリキュラムの考え方を融合させる.H23 年度に抽出したナノサイエンスの基本概念群に基づいて,基本概念学習とそれを将来のナノサイエンスへと拡張する可能性を含んだ知識創造型学習活動を融合した学習指導計画を立案し,その実行可能性を現場での実践研究を通して検証した.具体的な方策として,現場の指導主事らの意見や,長期研修制度で授業研究に参加している実践者の実践を参照しつつ,これまで長期にわたり展開してきた仮説実験授業の学習単元の指導内容と,単元間の関係から粒子論に関連したLearning Progression modelを構築することができるかどうか,実践の記録をもとに検討した.その結果,1. 我が国の現状の指導要領では,コア概念い基づく再帰的な学習サイクルの実現を目指すには,より早い段階からコア概念の導入が必要であること,2. 各学習単元の進展に学習者の探究ベースの学習活動がベースになる仮説実験授業のような形態を導入することによって学習者の理解モデルが漸進的に発展するカリキュラムの実現が可能であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先端科学教育のカリキュラムについて,北米で作成されたLearning Progressions modelを十分に調査し,その上で国内のカリキュラムとの整合性を検討できた点において研究計画は十分に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
現状の授業実践のデータを参照しつつ,仮説実験授業の学習単元を系統立てたLearning Progressions modelのカリキュラムによって,日本における粒子論のLPs modelを初等・中等,ひいては高等教育レベルにわたる学習カリキュラムとして提案し,さらにいくつかの学習単元においてはその具体的な指導計画を作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで構築してきた粒子論のLearning Progressions modelと我が国の学習指導要領との比較検討が,ヨーロッパの教授学習学会での発表として採択されており,そこでの発表に共同研究者を含めて参加するために海外旅費を支出が多く必要となる.この出張をもって,これまでの残額が支出され,当該年度の予算については,計画通りの支出となる.
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