自然演繹を学習コンテンツとして,足場かけのレベルを調整可能な学習支援システムを開発した。このシステムを用いて,足場かけ学習において,支援のレベルの学習効果に対する効果を検討した。 足場かけのレベルを考えるにあたって,アシスタンスジレンマという概念は重要な検討の観点を与える。アシスタンスジレンマとは,学習効果を最大化するために,どこまで支援を提供し,どこから支援を保留にすればよいのかという支援バランスに関わるジレンマである。そこでは,過剰支援が学習活動を阻害することが知られている。本研究では,学習効果を最大化するために,学習者自らが支援を受けることを抑制することが重要であるという仮説を提起し,そのような行動を,ストック行動として概念化した。授業実践を通して,支援のレベルを上げることを我慢する行動と,自ら支援のレベルを下げる行動といった2つのタイプのストック行動と,学習効果との関係を検討した。両者共に学習効果に正の効果があること,前者に対して後者は学習者にとってより困難な行動であることを明らかにした。
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