研究課題/領域番号 |
23650550
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20000086)
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研究分担者 |
有賀 亮 玉川大学, 教育学部, 教授 (70175983)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | パラ言語 / 音声情報 / 韻律情報 |
研究概要 |
有賀他(2008)が定義したパラ言語情報のカテゴリーの中から,本実験に用いるパラ言語情報として,以下の6 つのタイプを刺激音声として採用した.なお,被験者に提示する刺激音声及び被験者に選択させる選択肢は,有賀他(2011)の実験において用いたものをそのまま採用した.(パラ言語1)「なおんないよ」(/nao’Nnaiyo/)は,発話末のピッチが上昇調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「気付かせ」と判定されたものである.(パラ言語2)「あるよね」(/a’ruyoneH/)は,発話末のピッチが上昇調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「確認」と判定されたものである.(パラ言語3)「さがせるかな」(/sagaseru’kanaH/)は,発話末のピッチが下降調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「反語」と判定されたものである.(パラ言語4)「だいじょうぶそう」(/daijoHbuso’H/)は,発話末のピッチが下降調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「確認」と判定されたものである.(パラ言語5)「つぎのときね」(/tugi’notokine/)のは,発話末のピッチが上昇調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「確認」と判定されたものである.(パラ言語6)「つぎでいい」(/tugi’deii/)の発話時間は,発話末のピッチが上昇調で,パラ言語情報のカテゴリーとしては「強制」と判定されたものである.児童60 名×6 パラ言語,学生108 名×6 パラ言語の平均正答率を実験により求めた.この結果から,パラ言語情報を表現している選択肢を選択した正答率を概観すると,児童は大学生とほぼ同じ程度にパラ言語情報を知覚していることが明らかになった.この結果,特徴的なパラ言語情報の場合,児童も,大学生も,統制群も,凡そ50%程度は印象に残るという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,実際の講義(あるいは授業)という文脈における「パラ言語」の抽出とその意味を明らかにすることを目的としているが,本年度においては,パラ言語の情報カテゴリーを6種類に分類したうえで,学校における具体的な授業を題材に分析を行った.これにより,言語情報のみからなる授業研究にパラ言語の分析を加えるという目的の基盤を構築,確認したといえる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は小学校を基盤とした授業におけるパラ言語の抽出と確認をしたが,次年度以降は,対象をより高等教育課程に広げ,同様の検証を進めることとする.
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集,分析,学校に対する謝金を含めた人件費およびデータ収集のため実験校への移動に要する旅費,学会発表のための旅費,印刷のための消耗品費を次年度の研究費として使用する予定である.
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