研究課題/領域番号 |
23650551
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00184143)
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キーワード | 幼稚園研修 / 指導案 / 職能発達 / メンタリング / リフレクション / ネットワーク |
研究概要 |
指導案に基づく研修を行うために、電子黒板機能搭載型プロジェクターを新たに用いることにし、その導入と研修グループを組織した。ここでは、簡易クラウドコンピューティングを活用して、3歳から5歳までの指導案のデータベースを作成し、そのデータベースから指導案を引き出し、指導案から何を読み取り、保育実践に生かしていくか、を検討するシステムを兵庫県内の公立幼稚園教諭間で構築したが、まだ指導案の量などは不十分である。指導案は日案をベースとしているが、週案あるいは月案との関連性については検討できていない。ここでの教師間の相互作用などは、平成25年度の実践とそれの分析を行い、構築したシステムに必要な機能を検討する予定である。 また、アメリカにおける幼稚園での教師の協働に関する資料収集を行った。リテラシー教育に関してではあるが、リテラシー獲得に関する理論的モデルにしたがい、幼児の学習成果物を相互評価し、指導に生かすという仕組みが構築され、学年団として何を改善していくのかを明確にし取り組んでいた。すなわち、何を評価するのかということとそれに基づく改善プランの作成が重要なのである。この点も研修内容として組み込む予定である。 さらに、本研究において仮定した保育上の問題は、教師が大切だと思っているにもかかわらず実行できない点を明らかにするチェック項目に加えて、園長もしくは主任が園での研修において大切だと考えながら実行できないチェック項目の暫定案を作成した。 初任者研修に関する調査研究の成果をヨーロッパ教育学会で発表した。そこでは、わが国の教師は全般的に指導教員に依存的であることが明らかにされた。 以上から、本年度は研修システムの基盤整備とそれに必要と考えられる要素および機能を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研修システムの基盤として、新たに市販された電子黒板機能搭載型プロジェクターを導入することとし、ネット環境をより有効に活用できることとなったが、大学所在地における公立幼稚園の廃園の動きなど、研修体制を組織化することが困難になり、新たに研究組織を立ち上げることととなったため、研究の基盤となるシステムの評価研究が当初より遅れ、次年度に行うこととなった。また、研修の運営における園長の役割に関するチェック項目の作成がインタビューなどは終了しているが、最終版の作成にまで至らなかった。その理由として、各園の状況にかなり大きな違いがあるため、個別の項目が多く、集約が難しいことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに述べたように、新たに研究体制を整え、研修を兵庫県内の公立幼稚園教諭および園長、計8名により月1回実施する。すでにハードウェアおよび指導案データベースは利用できるため、それらを利用しながらの実践段階となる。実践段階の記録を詳細に取り、本研究の目的であり幼稚園研修の新しいシステムのプロトタイプを提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
兵庫県内での実践を行うため、研究費は旅費に支出するとともに、多くの言語記録や映像データを収集するため、その整理等への謝金を中心に支出する。
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