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2011 年度 実施状況報告書

貴重技術史資料のフォークソノミーによる集合知と連動したデジタル展示システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23650561
研究機関京都大学

研究代表者

塩瀬 隆之  京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)

研究分担者 宗本 晋作  立命館大学, 理工学部, 准教授 (20581490)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード旧制高校 / 技術史 / 科学実験教育機器 / フォークソノミー / タブレット / 非文献リポジトリ
研究概要

本研究の全体構想は,「貴重な技術史資料を実際に使用した利用者の経験をネットワークで集めることと,そこで得た集合知による新たな分類と連動したデジタル展示システムを構築すること」である.具体的には,京都大学総合博物館に624 点ある旧制三高資料ならびに京都帝国大学時代の機械原理教育モデルをはじめとする貴重技術史資料を対象とする.平成23年度は、旧制三高以外に旧制四高や旧制一高、姫路高専などと連携し、いずれの旧制高校においても保存されている13点の科学実験教育機器を選定した。そして、これら13点を一括閲覧可能な非文献リポジトリホームページに掲載し、地図アプリなどと連携して国内での収蔵状況を俯瞰できる情報基盤を確立した。さらに同科学実験教育機器の写真やキャプションをタブレット機器にダウンロードし、展示場でのデジタル展示ならびに旧制高校同窓会などにおいて閲覧可能なスライドショー用配布機器を試作した。ここでは、シニア利用を想定し、文字サイズやカラーパターンなどにおいてユニバーサルデザインの観点から配慮した。また、旧制三高生の学生らの写真など旧制高校の同窓生に昔の記憶想起を促すようなイメージ写真を同梱し、利用者経験を言語化する支援ツールとした。 映像記録については、技術史資料への当事者の語りを記録する場合の構成要素および撮影実践のフォーマット策定を目指し、物理実験教育機器をはじめとする技術史資料全般に造詣の深い著名な研究者による語りをまず記録試行した。技術史資料を当事者に見せながら、Webに掲載することを想定したショートメッセージによる解説を依頼し、これを撮影、映像化した。この映像は、Webやデジタル展示において本研究の目指すフォークソノミー実践へ利用者を誘うショートメッセージ映像としても機能させる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、旧制三高以外に旧制四高や旧制一高、姫路高専など想定していた以上にネットワーク形成が加速し、いずれの旧制高校においても保存されている13点の科学実験教育機器を早期に決定することができた。さらに同科学実験教育機器の写真やキャプションをタブレット機器にダウンロードし、シニア利用を想定したインタフェースのアクセシビリティ調査を平成23年度中にはじめることができた。また、大学文書館の支援を仰ぐことができたことから、旧制三高生の学生らの写真など旧制高校同窓生の記憶想起を促すようなイメージ写真を入手できた。これによって、旧制高校同窓生への技術史資料利用経験調査も円滑に運用することが期待される。

今後の研究の推進方策

本研究で想定するような貴重技術史資料の利用者経験を集める運用モデルの一例として、代表的な科学実験教育機器の写真資料をホームページやタブレット機器に掲載するインタラクションモデルをさらに運用するための仕組みが求められる。今後は具体的に旧制高校同窓生の協力を仰ぎながら、システム利用シナリオを同定し、ユーザインタフェース上の課題を最優先して解決する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度に立ち上げた科学実験教育機器ホームページ上の資料13点について、改めて調査および写真撮影の経費計上が必要である。また、本プロジェクトをはじめとする調査事業の成果を速やかに展示などに反映させるため、京都大学総合博物館などの展示場におけるデジタル展示コンテンツの展示開発の費用が求められる。 さらに科学実験教育機器の調査ホームページに多様な研究者の閲覧および参加を促すため、技術史研究者等にとって利便性の高い情報発信を運用モデルに据える。具体的には、昭和初期や明治時代に旧帝国大学や旧制高校など高等教育機関に理化学教育機器や計測器などを収めていた業者らの当時の機器カタログなどをデジタル化し、技術史研究者にとって閲覧および探索、研究しやすくなるような情報発信を実施する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 原発をめぐる情報伝達に関する意見交換会から得られたコミュニケーションギャップ2011

    • 著者名/発表者名
      白井哲哉, 水町衣里, 加納圭, 黒川紘美, 仲矢史雄, 元木環, 塩瀬隆之
    • 雑誌名

      科学技術コミュニケーション

      巻: 9 ページ: 107-119

    • 査読あり
  • [学会発表] 赤外線カメラを用いた博物館来館者行動の分析2012

    • 著者名/発表者名
      山下歩、西村卓馬、塩瀬隆之、平岡敏洋、川上浩司、中谷将人、宗本晋作
    • 学会等名
      計測自動制御学会第39回知能システムシンポジウム
    • 発表場所
      千葉大学(千葉県)
    • 年月日
      2012年3月15日
  • [学会発表] 展示資料の相互関係性への着目を促すExhibition Contest の提案2012

    • 著者名/発表者名
      西村卓馬
    • 学会等名
      計測自動制御学会第39回知能システムシンポジウム
    • 発表場所
      千葉大学(千葉県)
    • 年月日
      2012年3月15日
  • [学会発表] ベイジアンネットワークを用いた展示に対する鑑賞行動に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      中谷将人
    • 学会等名
      立命館大学修士論文
    • 発表場所
      立命館大学(京都府)
    • 年月日
      2012年2月23日
  • [学会発表] 人がシステムへの信頼を失うとき2011

    • 著者名/発表者名
      塩瀬隆之
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会計測・制御・システム工学部会第1回システムフォーラム
    • 発表場所
      住友ビル(大阪府)
    • 年月日
      2011年9月4日
  • [学会発表] 博物館における学び促進のための仕掛けと評価2011

    • 著者名/発表者名
      西村 卓馬,塩瀬 隆之, 平岡 敏洋, 川上 浩司
    • 学会等名
      ヒューマンインタフェース2011
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      2011年9月16日
  • [学会発表] 地域連携によるワークショップ開発―評価サイクルに関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      塩瀬隆之、水町衣里、磯部洋明、黒川紘美、堂野能伸、神谷麻梨
    • 学会等名
      2011年度大学博物館等協議会・第6回博物科学会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2011年6月22日
  • [学会発表] ものづくり立国を知らない若者にいかに工学を説くか2011

    • 著者名/発表者名
      塩瀬隆之
    • 学会等名
      北陸信越工学教育協会石川県支部講演会(招待講演)
    • 発表場所
      金沢工業大学(石川県)
    • 年月日
      2011年12月12日
  • [学会発表] 研究者資料か?研究資料か?:京都大学研究資源アーカイブの活動と課題2011

    • 著者名/発表者名
      山下俊介・五島敏芳
    • 学会等名
      東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター高度アーカイブ化事業 記念シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2011年11月26日
  • [図書] フィクション論への誘い2012

    • 著者名/発表者名
      大浦康介、塩瀬隆之ほか(共著)
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      世界思想社

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公開日: 2013-07-10  

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