研究課題/領域番号 |
23650566
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
野間 晴雄 関西大学, 文学部, 教授 (00131607)
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研究分担者 |
北川 勝彦 関西大学, 経済学部, 教授 (50132329)
朝治 啓三 関西大学, 文学部, 教授 (70151024)
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キーワード | プラントハンター / 科学社会学 / 博物学 / 植物園 / イギリス / ニュージーランド / 南アフリカ / インド |
研究概要 |
プラントハンターたちは本国のパトロンの資金援助で,未知の地域へ探査に行くともに,いかに植物を生きたまま,あるいは種子で本国に持ち帰るかに腐心した。そのモデルをつくったのがイギリスで,キュー植物園をネットワークの拠点として大英帝国の植民地からの稀少な植物や有用植物を収集するシステムが18世紀後半には完成した。 朝治は,このネットワーク形成の立役者であるジョセフ・バンクスの行動や考えを,ロンドンの王立園芸協会図書館で本人の出版物に直接あたり明らかにしつつある。野間は,英領インドの一部であったアッサム茶の延長であるシレット地方(現バングラデシュ)のプランテーション農園の実態と茶園形成過程,インド国内の植物園との関係を分析するとともに,イギリスのキュー植物園,庭園史博物館,チズウィック植物園での調査を行った。北川は,南アフリカで活躍したプラントハンターのF. Masson,J. Bowie,R.Plantに焦点をあて,植物園の設立と帝国・植民地経済の運営との関連を考察した。 研究協力者の川島昭夫は,18世紀の育種家ジェームズ・リーなどナースリーマンとその種苗園に関する資料の収集と,エディンバラの国立公文書館で,エディンバラ王立植物園と18世紀後半に多くの植物採集者を養成したその植物園園長であるジョン・ホープの資料調査を行った。小椋純一は,イギリスに移入されたニュージーランド産植物,とりわけカウリとカウリ・ガムの分析を植物学の知見も加え考察した。 いずれも3年間の海外現地調査にもとづき収集した資料や成果をもとにこの1年半かけて,個々のテーマに加え,イギリス庭園史の研究成果も加味しながら,英国人プラントハンターの探査と商業主義の相克を,科学社会学の背景をもった学際的な論集として,総論を付して刊行したい。このほか啓蒙的解説記事などによっても植物と社会の関係を社会発信していくつもりである。
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