2013年度は、融剤の濃度を変化させた試料を作製しFeの酸化数や配位構造の変化の詳細を調べる基礎実験を行った。また、第一原理計算の基礎となる配位構造の既知の材料としてプルシアンブルーのXANES測定を行った。これと並行して、ESR(FMR)により磁気特性測定から推定した電子状態は主に電子スピンに関する情報で、ここからFeの電子状態を求める。この結果とEXAFSならびにXAENS測定を通して求めた配位構造とを比較し、釉薬における発色機構の解明を試みた。本研究ではXANESのプリエッジ部分のピークに着目し、Feイオンの価数をエネルギー値より、また、ピーク強度と対称性から配位の対称性について考察を行った。酸素の不対電子の寄与はSiやMgなどの金属イオンにより異なる(SiO2とMgOのそれぞれのOの寄与の差)ことを見出した。これと並行してプルシアンブルーのXANESのプリエッジ部のスペクトルを用いることで第一原理計算による解析できる可能性を見出した。これらの成果に加えて、この3年間のまとめを行った。
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