研究概要 |
本課題では、これまでなかった全く新しい試みとして、ジオデモグラフィクス(小地区プロファイル)により、インフルエンザ流行に関連する社会・人口的な背景要因を分析した。 具体的には長崎県諫早市医師会で行っているインフルエンザの全数登録調査のデータと、代表的なジオデモグラフィックス分類であるモザイク・ジャパン(全国約2万の町丁・大字の住民特性があらかじめ11の大グループと50の小グループに分類されている)の住民特性分類を結合し、インフルエンザ発生とその背景要因を分析した。 1)2012-2013年シーズンの長崎県諫早市でのインフルエンザの流行状況 2013年3月31日までにインフルエンザ患者は7,809例登録された。A型6768例(86.7%)、B型583例(7.5%)でありA型が主流の流行であった。A型は2013年第4週ピークが有り、B型は4月中旬の時点でまだじわじわと患者が増え続けている。A型では0-12才の小児が全体の罹患の40%を占め、次に19-64才の青壮年層が40%の罹患であり昨年に比べやや成人の罹患が多かった(昨年の成人は全体の36%)。 2)ジオデモグラフィックスを使った発生多発地区プロファイル。 A型インフルエンザの発生は勤労者世帯(グループG)と、公団居住者地域(H)で有意差を持って多いことは昨シーズンと同様であった。しかし、下町地域(D)と会社役員・高級住宅地(F)で有意差をもって発生が多いことが例年と異なった。今年は中高年層の罹患を多かったことを反映した結果と考えられた。一方で、農村およびその周辺地域(J)と過疎地域(K)でA型発生が少なかったことは例年通りであった。B型インフルエンザは下町地域と公団居住者地域で多く、職住近接・工場町、農村およびその周辺地域、過疎地域で有意に少なかった。なお、B型は発生が少なかったため妥当な評価となっていない可能性がある。
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