研究課題
マウス胎児由来線維芽細胞にレトロウィルスを用いて蛍光蛋白質および薬剤耐性マーカーを導入し、ほぼ100%の頻度で遺伝子導入されていることを確認した。さらにiPS細胞化を誘導するために、マウス由来Oct3/4, Klf4, Sox2, c-mycの4種類の遺伝子をレトロウィルスによって導入した。これらの4因子の導入後、約3週間後に立体的に隆起した細胞形態を示すiPS細胞の出現を確認した。このコロニーを顕微鏡下でピックアップし、合計20を超すiPS細胞ラインの樹立に成功した。全てのiPS細胞株で事前に導入した蛍光蛋白質遺伝子は不活性化しており、LTRプロモーターの高頻度なサイレンシングが確認された。事前に導入されていた蛍光および薬剤耐性遺伝子のLTRプロモーターはiPS細胞化に際する李プログラミングにより不活性化(サイレンシング)を受けたと考えられた。その後、樹立されたiPS細胞において、NanogおよびOct3/4遺伝子などの多能性マーカー遺伝子の発現を検出しており、さらに生物学的特徴を明らかにする予定であった。 しかし、東北・東日本大震災により、大規模ならびに長期間にわたる停電が東北大学農学研究科において生じた。このため、一度樹立したiPS細胞は超低温冷凍庫がほぼ室温にさらされたために死滅したことを、平成23年6月の震災後に確認を行なった。長期停電によって温度変化にさらされ、細胞は死滅したと考えられた。現在、再度同様のマーカー遺伝子を導入したマウスiPS細胞を樹立すべく実験を行なっている。
3: やや遅れている
一度はマーカー遺伝子を導入したマウス由来iPS細胞の樹立に成功したが、その後に発生した東北・東日本大震災によって生じた停電によって、死滅することとなった。現在、再度蛍光マーカーおよび薬剤耐性遺伝子を持つマウスiPS細胞を樹立できるよう実験を進行している。加えて樹立した細胞は、茨城県つくば市に存在する理化学研究所、バイオリソースセンターに一部を保管して頂く予定である。今後の災害に対する研究リソースの保全を行う予定である。
蛍光マーカーおよび薬剤耐性遺伝子を持つマウス由来iPS細胞を樹立し、その後に脱メチル化化合物の陽性対象物質である5-Aza-dCを暴露し、一度サイレンシングされた遺伝子が発現の回復を生じることを明らかにする。加えて、導入したLTRプロモーターのメチル化状態を検出し、5-Aza-dC処理によってメチル化状態が変化したことを検出する。
遺伝子導入試薬、培養細胞用血清、遺伝子抽出試薬など、消耗物品に使用する予定である。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Bioscience Biotechnology and Biochemistry
巻: in press ページ: in press
Oncology Rep