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2012 年度 実績報告書

ゲノムストレス記憶・継承システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23650588
研究機関広島大学

研究代表者

田代 聡  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)

キーワード放射線 / 抗がん剤 / ゲノム損傷 / クロマチン / クロマチン免疫沈降シーケンス報 / RAD51
研究概要

本研究では、悪性腫瘍の治療に用いられる放射線や抗がん剤治療によるゲノムストレスが、損傷ゲノムを含むクロマチンに何からの刻印として記憶・継承される可能性を検証するために、1)ゲノム損傷誘導後のゲノム修復蛋白質のクロマチンへの結合、2)ゲノム損傷誘導後クロマチンでのヒストン構成の変化、について全ゲノムを対象にクロマチン免疫沈降シークエンス法を用いて解析した。ヒト繊維芽細胞株に抗がん剤処理によるゲノム損傷誘導後、経時的にゲノム修復関連タンパク質RAD51のクロマチンへの結合について、抗RAD51抗体を用いたクロマチン免疫沈降シークエンス法による検証に取り組んだ。まず、トポイソメラーゼII阻害作用を持つ抗がん剤エトポシド処理後30分後のRAD51抗体を用いた免疫沈降シーケンス解析では、二次性白血病の疾患特異的染色体異常として知られている11q23転座の染色体転座切断点集中領域へのRAD51の結合が確認された。この結合は、ゲノム損傷応答因子ATMの欠損細胞でより強く認められていた。さらに、11q23転座の染色体転座切断点集中領域以外にも、一部の染色体のテロメア近傍などへのRAD51の結合が認められた。データの再現性を確認するとともに、エトポシド処理2週間後の細胞を用いたRAD51のクロマチンへの結合を解析したところ、RAD51は複数の染色体でテロメア近傍に結合している傾向が見られ、これらの部位には繰り返し配列が存在していた。これらの知見から、ゲノム損傷により、RAD51は染色体転座切断点集中領域以外でテロメア近傍の繰り返し配列に結合することが確認され、このことがゲノム損傷の記憶に繋がる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Involvement of ribonucleotide reductase-M1 in 5-fluorouracil-induced DNA damage in esophageal cancer cell lines.2013

    • 著者名/発表者名
      Aoki Y
    • 雑誌名

      Int J Oncol

      巻: in press ページ: in press

  • [雑誌論文] A functional deficiency of TERA/VCP/p97 contributes to impaired DNA damage repair in multiple polyglutamine diseases.2013

    • 著者名/発表者名
      Fujita K
    • 雑誌名

      Nature commun

      巻: in press ページ: in press

  • [学会発表] Analysis of ionizing radiation-induced chromosome abnormalities by PNA-FISH.2012

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tashiro
    • 学会等名
      The 10th International Symposium on Chromosomal Aberrations
    • 発表場所
      Amalfi(イタリア)
    • 年月日
      20121019-20121021
  • [学会発表] 放射線誘発がんと染色体異常

    • 著者名/発表者名
      田代 聡
    • 学会等名
      第35回日本がん疫学・分子疫学研究会総会(招待講演)
    • 発表場所
      広島
  • [学会発表] 細胞核高次構造に基づいた生物学的線量評価指標の開発

    • 著者名/発表者名
      田代 聡
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第55回大会
    • 発表場所
      仙台
  • [学会発表] Detection of radiation-induced chromosome abnormalities using FISH with PNA probes

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tashiro
    • 学会等名
      第71回日本癌学会総会
    • 発表場所
      札幌
  • [学会発表] Mechanism of the radiation-induced repair focus formation.

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tashiro
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会
    • 発表場所
      福岡

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公開日: 2014-07-24  

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