研究概要 |
DNAメチル化異常はがん等のヒト疾患に関与しているが、その誘発因子に関する知見は限られている。メチル化異常誘発に炎症細胞が深く関与しており、新規メチル化異常誘発要因の同定には、炎症細胞等を含む間質細胞と上皮細胞の相互作用を加味したin vivo検出系の構築が必要である。本研究では、異常メチル化を検出するトランスジェニックマウスを開発することを目的とした。 平成24年度は、1) メチル化検出のマーカーのためのプロモーター領域CpGアイランド(CGI)選定、2) ベクター構築、3) 培養細胞への導入までを行なった。当初は、マーカーとしてマウス大腸粘膜でメチル化され易いプロモーター領域CGIを用いる予定だったが、昨年度の解析で同定できなかった。マウスはヒトと比べメチル化されている遺伝子数が少なく、またゲノム全体のCGI密度も低いことから、マーカーに適したCGIを同定することが困難であると予測された。従って、ヒト遺伝子のCGIを用いることに変更した。 すでに、ヒト大腸上皮細胞で容易にメチル化され、メチル化状態と下流遺伝子の発現状態とに良好な相関関係があり、尚かつ、下流遺伝子の転写レベルが高いCGIとしてUCHL1プロモーター領域CGIを同定している (Okochi-takada, Int. J. Cancer, 2006)。このCGIをマーカーに用いることとした。プロモーターの下流に LacI翻訳領域を挿入したLacI発現ベクター、及び、lacO-EGFP発現ベクターを構築した。レポーター遺伝子は、FACSによりメチル化された細胞を分離できるようにするため、緑色蛍光蛋白を産生するEGFP遺伝子を用いた。まず、lacO-EGFP発現ベクターを培養細胞に導入、緑色蛍光強度が高いクローンを分離、さらにこの細胞へLacI発現ベクターを導入し、緑色蛍光が消失したクローンを数系統分離した。
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