研究課題/領域番号 |
23650600
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
今村 健志 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264421)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / シグナル伝達 / 遺伝子 / 生体分子 / 細胞・組織 |
研究概要 |
がんの浸潤・転移における上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition; EMT)の役割とその分子メカニズムをより明らかにするために、革新的EMTイメージング法を開発し、がん細胞のEMTと細胞周期、さらに両者を制御するTGF-βシグナルを可視化し、in vitroとin vivoでこれらの相互連関を明らかにする。 平成23年度には、まず、EMTをイメージングする蛍光プローブの開発として、Bimolecular Fluorescence Complementation (BiFC)法の基礎実験をおこなった。具体的には、結合することがわかっている2種類のタンパク質にそれぞれ、N末側半分の蛍光タンパク質(mKO-N)とC末側半分の蛍光タンパク質(mKO-C)を融合させたタンパク質の遺伝子をデザインし、そのコンストラクトを作製し、HEK293T細胞にトランスフェクションして、イメージングをおこなった。最終的には、ロイシンジッパーアシディック(LZA)とロイシンジッパーベーシック(LZB)の組み合わせが効率よくmKOの再構成が起こることが確認できた。次に、EMT特異的に遺伝子発現するマーカー遺伝子をマウス乳腺上皮細胞NMuMG細胞にTGF-βを添加する系でスクリーニングしたところ、当初、候補としていたTwistのmRNAレベルの変化は2倍程度で、本牧的には不向きだとわかった。一方、Snailに関しては不安定ではあるが3-5倍程度のmRNAレベルの変化が確認できた。次年度は、さらに候補遺伝子のスクリーニングを進める予定である。さらに、in vivoイメージングの基礎実験を開始し、mKO、mCherry、CFPとVenusの各種蛍光タンパク質を生きているマウスの中で可視化するための条件を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EMTをイメージングする蛍光プローブの開発として、BiFC法の基礎実験は順調に進展した。具体的には、結合することがわかっている2種類のタンパク質にそれぞれ、mKO-NとmKO-Cを融合させたタンパク質の遺伝子をデザインし、そのコンストラクトを作製し、HEK293T細胞にトランスフェクションして、イメージングをおこなった。最終的には、ネガティブチャージを持つLZAとポジティブチャージを持つLZBの組み合わせが効率よくmKOの再構成が起こることが確認できた。次に、EMT特異的に遺伝子発現するマーカー遺伝子をマウス乳腺上皮細胞NMuMG細胞にTGF-βを添加する系でスクリーニングしたところ、当初、候補としていたTwistのmRNAレベルの変化は2倍程度で、本牧的には不向きだとわかった。一方、Snailに関しては不安定ではあるが3-5倍程度のmRNAレベルの変化が確認できた。さらに、in vivoイメージングの基礎実験を開始し、mKO、mCherry、CFPとVenusの各種蛍光タンパク質を生きているマウスの中で可視化するための至適条件を得ることが出来た。BiFC法の基礎実験とin vivoイメージングの基礎実験は順調に進展した。マーカーのプロモーターはさらにスクリーニングの必要があるが、すでにいくつか候補が挙がっており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
EMTをイメージングする蛍光プローブの開発としては、Twistに代わるEMT特異的に遺伝子発現するマーカー遺伝子のスクリーニングを進める。候補遺伝子が決定した後は、Snailとともにそのプロモーター領域をサブクローニングし、それぞれ特異的遺伝子発現を確認した後、それぞれmKO-N-LZAとmKO-C-LZBの発現系を構築し、NMuMG細胞に遺伝子導入し、TGF-βを添加する系で、EMTイメージングを確認する。さらに、細胞周期とTGF-βシグナルを同時に可視化する細胞株樹立とin vitroイメージング実験をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付申請書通り使用予定でり、特に大きな変更は考えていない。
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