がんの浸潤・転移における上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition; EMT)の役割とその分子メカニズムをより明らかにするために、革新的EMTイメージング法を開発し、がん細胞のEMTと細胞周期、さらに両者を制御するTGF-βシグナルを可視化し、in vitroとin vivoでこれらの相互連関を明らかにすることを目的に研究を進めた。具体的には、生体の中で上皮間葉転換(EMT)を可視化するために、EMT特異的プロモーターとBimolecular Fluorescence Complementation (BiFC)法の組み合わせで蛍光プローブ作製を試みた。BiFCが使用する細胞で動くことをネガティブチャージを持つロイシンジッパーアシディック(LZA)とポジティブチャージを持つロイシンベーシック(LZB)で確認し、生きている動物の中でmKO、mCherry、CFPとVenusを検出するシステムを最適化した。さらに、EMT特異的に遺伝子発現するマーカー遺伝子をマウス乳腺上皮細胞NMuMG細胞にTGF-βを添加する系でスクリーニングしたところ、当初、候補としていたTwistのmRNAレベル の変化は2倍程度だとわかった。一方、Snailに関しては不安定ではあるが3-5倍程度のmRNAレベルの変化が確認できた。さらに候補遺伝子のスクリーニングを進め、最終的には、TwistとSnailプロモーターでBiFCとの組み合わせが可能であることを示した。
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