研究課題/領域番号 |
23650610
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
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研究分担者 |
古本 祥三 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00375198)
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (60143038)
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キーワード | BNCT / がん / パラボロノフェニルアラニン(BPA) / PET / F-18 BPA |
研究概要 |
本研究では、大量製造可能なフッ素18アニオン(18F-)を原料として、高収量で18F-FBPAが得られる実用的合成法の確立を目指した。昨年度の結果を踏まえ、本年度は新たな合成ルートの検討を行った。3-フロロ-4-ホルミルフェニルボロン酸にジアミノナフタレンを反応させボロン酸の保護を試みたところ、目的の保護は達成されたものの、同時にホルミル基もアミノ基と反応してイミンを形成したと思われる生成物が得られた。そこで種々の反応条件でボロン酸選択的保護を試みたが達成できなかった。そこでFBPA合成の困難さは、フッ素がベンゼン環への結合に起因しているとの観点で、より合成の容易さが期待できるアルキル鎖末端にフッ素を導入したFBPA誘導体(FBPA*)を新たにデザインし、その合成を検討した。FBPA*は、3フロログリセロールをBPAのボロン酸と縮合反応させ結合させた構造であり、この場合は求核置換反応によって容易にフッ素18標識できると考えた。なおこの化合物の合成ルート検討では、容易に入手可能なクロログリセロール(CG)を用いた。まず、BPAに直接CGを反応させて縮合反応が進行するかを検討した。しかしBPAが様々な溶媒に対して不溶性で、目的とする化合物は得られなかった。そこで別途合成ルートの検討を行った。まずCGをヨードフェニルボロン酸と反応させ、目的とする縮合体を合成した。続いてアミノ酸骨格は、アラニン誘導体のOH基をヨウ素に置換して合成した。そしてこれら2化合物を根岸反応によりカップリングすることを試みた。しかし反応条件をいろいろ検討するも、副反応が優先して目的とするカップリング体は得られなかった。以上から、本研究ではフッ素アニオンを用いたFBPAの大量合成に挑戦し、様々な合成ルートを検討したがいずれも成功せず、その目的達成の困難さが明らかになった。
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