研究課題/領域番号 |
23650615
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
永坂 岳司 岡山大学, 大学病院, 助教 (30452569)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | miRNA / スクリーニング / 膵癌 |
研究概要 |
近年、ゲノム解析の発展に伴い、発がん過程におけるエピゲノム変化の重要性が示され、メチル化DNAとmiRNAは新規がん診断技術のバイオマーカーとして注目されている。研究代表者は現在までにメチル化DNAを便から簡易に検出する技術の開発を行い、その結果、大腸がんだけでなく胃がんもスクリーニング可能であることを世界で初めて示した。また、miRNAも便から検出可能であることを示し、検出ツールとしての可能性も示している。本研究は、先行研究の成果により確立された簡易便ヒトメチル化DNA検出技術に加えて、膵がんに特徴的なmiRNAマーカー群を同定し、まったく新しい原理による便からのmiRNA検出技術の確立を行い、これら2種類のエピゲノムマークスを組み合わせることによる非侵襲的膵がんスクリーニング技術の開発を目標とする。平成23年度の研究成果であるが、まず、miRNA アレイによる各組織・腫瘍特異的発現miRNAの同定を行なった。これは本研究の肝となる研究である。我々は、miRCURY LNA microRNA Arrayを用いてまず各組織間・各腫瘍間のmiRNA発現の検討を行った。具体的には各消化器系疾患の手術時に得ることができる凍結消化器組織を用いてmiRNA profilingを行った結果、明らかに各消化器組織特異的に発現しているmiRNAの同定が可能であった。この解析結果にて各組織特異的発現を示すmiRNAの選定を行い、バイオマーカーとしての検討を現在行なっている。また、便中のmiRNAの検出には、(1)Total RNAの抽出、精製(2)リアルタイムPCRによる検出という手順を踏む。我々は、現在、便検体量は便潜血反応の際に収集する量にて検出可能にしているが、(1)の手順はいまだ煩雑である。我々は(1)の手順をスキップ(簡略化)して(2)のステップに移行する方法を現在、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の目標として、P1: miRNA アレイによる各組織・腫瘍特異的発現miRNAの同定、P2: 新規便中miRNA抽出技術の開発、P3: 手術予定患者/検(健)診参加者からの定期的な検体収集(便・摘出標本を含む、P4: メチル化DNAマーカーセットを用いた多医療施設による消化器がんスクリーニング試験の実地と解析(P3にて収集された検体を用いて)を掲げたが、P1は無事終了しており、現在P2に鋭意取り組んでいる最中である。P3は定期的に収集されており、P4のメチル化マーカーでの検討は適宜施行されている。このため、P2が完成すれば本研究のほとんどは遂行されることになる。
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今後の研究の推進方策 |
メチル化DNAマーカーセットを用いた多医療施設による消化器がんスクリーニング試験の実地は想像以上に良好な結果を得ている。したがい、新規便中miRNA抽出法の開発が今後の本研究の中心となる。現在、基本的な方法ではある程度、便中からmiRNAを増幅可能であるが、臨床応用できるレベルには達していないと我々は考えており、今後、以下にそれらの問題点を克服できるのかが鍵となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規便中miRNA抽出法の開発および、それを用いての検体の解析を行うための材料費にすべて用いる予定である。
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