研究課題/領域番号 |
23650620
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
遠藤 典子(岩田典子) 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (80546630)
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研究分担者 |
芝崎 太 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 参事研究員 (90300954)
櫻井 陽 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (40546628)
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キーワード | 子宮頸癌ワクチン / 中和抗体価 |
研究概要 |
子宮頸癌予防ワクチンの普及は著しいが、ワクチン接種により誘導される血清中の中和抗体価を客観的に測定する系は未だ確立していない。そこで本研究では、実用化に向けた子宮頸癌予防ワクチンの効果測定法開発に取り組んだ。最終年度では、まず抗原について、初年度に得たHPV16/18L1タンパク質の他、将来多価ワクチンが市販された場合に備え、日本人に多い高リスク型HPVである31/33/51/52/58型L1タンパク質のバキュロウイルス発現系による産生を試みた。HPV33/51型はタンパク質精製まで、31/52型はウイルス感染まで終了した。抗体作製についてはウサギ抗血清とマウス腹水が得られており、これらはキットの品質管理用とする予定である。測定法開発では、既に構築済のdirect ELISA法を改良し、マグネットビーズを用いたビーズELISA法を新たに確立した。これによりバックグラウンドが大幅に低減し、高感度化したイムノクロマトと共に精度の高いアッセイ系の構築に成功した。また最終年度では、独自に開発した上記ビーズELISA法と高感度イムノクロマト法を用いて小規模臨床研究を行った。感度および精度を十分に検討・調整した後、HPV曝露前の小児(18名)、ワクチン接種後ボランティア(45名)、接種前後ボランティア(20名)、子宮頸癌患者(15名)の血清を実際に測定した結果、ワクチン接種者の抗体価は未接種者と比較し有意に上昇していることを確認した。イムノクロマト法は当初から企業と共同で開発を進めており、キット仕様も大筋で決定している。ビーズELISA法は実験室レベルでの最終検討が終了、キット化に向け企業との協議を開始している。以上より、現在市販のワクチンに対応したHPV16/18型L1抗体価の上昇を確認するキットは現実的なものとなりつつある。今後は、多価ワクチンに対応した測定系の開発が期待される。
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