研究課題
現在までに、ヒトES細胞、iPS細胞をソースに、凍結可能な巨核球細胞株の誘導に成功した。また、T細胞由来のiPS細胞からの巨核球、および血小板への誘導に関しては確認済みである。作製に成功した巨核球細胞株は、ES細胞、iPS細胞から誘導する造血前駆細胞集団に特定の遺伝子を導入し、特殊な培養条件下に暴露することで、自己複製能を獲得し、in vitroの条件で増殖を繰り返す。一方、本巨核球細胞株は、導入遺伝子の発現off状態および環境の変化に伴って、機能性血小板を放出する事を確認した。計画ではH23年度は、(1)担癌患者の細胞障害性T細胞由来iPS細胞の樹立、(2) 抗原特異的TCR配列の決定、(3) TCR配列を組み込んだ巨核球特異的発現用ベクター、ウイルスの構築 を計画していた。現在までの検討により、本巨核球細胞株での遺伝子操作がより簡便に行えるためには、遺伝子の発現を薬剤等により自由に制御できる為のベクターシステムの構築が不可欠である事が明らかになった。このべクターの選択および改変が本プログラムの成功には必須であるが、H23年度は遺伝子操作方法およびベクターの構築に時間を要している。
3: やや遅れている
繰り返しになるが、T細胞受容体の発現、ならびにキメラ受容体を血小板においても発現と機能が保持できる事を目指したベクターシステムの構築に時間を要している。血小板放出の巨核球細胞株での遺伝子操作がより簡便に行えるためには、遺伝子の発現を薬剤等により自由に制御できる為のベクターシステムの構築が不可欠であり次年度は遺伝子操作方法およびベクターの構築を早期に完成させる。
巨核球細胞株、由来血小板に加えて、末梢血血小板を陽性コントロールに使用して、選択的に血小板顆粒に薬剤を取り込む事ができるのか?選択的に薬剤の放出が血小板活性化剤依存的に可能か?の二つの重要な命題の検証を先ず行う。この基礎的なデータを基に、T細胞受容体キメラのベクターデザインを考慮、設計する。iPS細胞からのT細胞や巨核球の作製はできており、目的となるキメラT細胞受容体の発現とその制御系を既存の細胞等(K562, CMKなどの巨核球癌細胞株)で確認した上で、iPS細胞から誘導する巨核球細胞株での制御を試みる。目標は、本巨核球細胞および放出される血小板でのT細胞受容体でありながら、細胞内ドメインに関しては、Ca2+シグナルやProtein Kinase Cの活性化が起きるようなキメラ受容体を発現させることにあり、本システムのバリデーションを早期に行う。
分子生物学、生化学関連試薬等の消耗品費と、学会参加のための旅費に使用する。研究遂行の為の新規の機器購入計画はない。
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