組換えアデノウイルス(Adv)を感染させることによって目的遺伝子を細胞内に導入する方法は広く用いられている。今回の研究ではAdvにカーボンナノチューブ(CNT)を前処理すると、培養細胞において遺伝子導入効率が数倍から数百倍に増強されることが判明した。AdvとCNTが複合体を形成することによって、Adv単独の場合とは異なる経路で効率的に遺伝子導入がなされるものと推察された。このCNTによる遺伝子導入増強効果は浮遊細胞でも確かめられ、さらに腫瘍組織への直接投与という動物実験でも同様の増強効果が証明された。以上から、CNT-Advを用いた新たな遺伝子導入法が多くの分野で有用であると考えられる。
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