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2012 年度 実施状況報告書

遺伝素因による発癌病態の解明と癌予防に向けた創薬開発

研究課題

研究課題/領域番号 23650624
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

醍醐 弥太郎  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)

キーワード分子標的治療
研究概要

個人ゲノム情報に基づく癌の分子病態研究の急速な展開、例えば一塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)を用いた各種癌の多数の患者DNAのゲノムワイド関連解析により、これまでの手法では同定されなかった癌関連遺伝子の構造的多様性を介した癌の遺伝素因が明らかになると期待されるが、一方で、その機能検証に必要となる遺伝子のゲノム構造異常等を迅速かつ正確にヒト体細胞を用いた実験系で再現できる手法は存在しない。そこで本研究は、(1)複数の遺伝子異常の同時解析に利用可能な正常細胞における遺伝子組み換え技術を開発して、ゲノム構造異常や遺伝子多型(遺伝素因)に起因する癌発生機構の解明を行うこと、そして(2)この技術を応用して、新規癌関連遺伝子を標的とした癌予防に向けた創薬開発手法を確立することを目的としており、その第1段階の解析として、前年度に解析基盤(技術・試料)の確立を行うため、複数の細胞株やヒトの肺由来の正常細胞(気道上皮)における肺癌関連遺伝子(TERT, TP63)の遺伝子多型を確認した上で、遺伝子導入条件を検討した。あわせて遺伝子導入に影響を与えるgeneticbackgroundの検証を行うため、細胞ストレス下での肺癌関連蛋白・遺伝子やDNA修復に関わる蛋白・遺伝子の発現を検討し、複数の遺伝子導入株候補を選定した。当該年度は、第2段階として、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定した肺癌関連遺伝子等のリスク多型をもたない複数の細胞株に当該遺伝子を導入した細胞を作製して、癌の遺伝素因に起因する発癌病態の解明と癌予防に向けた創薬モデル構築の基盤を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肺癌関連遺伝子等のリスク多型をもたない細胞株に当該遺伝子を導入した系が構築され表現型解析の基盤ができたため。

今後の研究の推進方策

平成24年度に得られた結果を基にして、第3段階として、癌の遺伝素因に起因する発癌病態の解明と癌予防に向けた創薬モデルの構築を行う。作製した肺癌関連遺伝子等の導入細胞を用いて細胞の形態、生理、生化学的表現型について野生型細胞と比較しながら解析し、リスク多型をノックインした場合の細胞レベルでの変化を観察する。さらに細胞ストレス条件下でのリスクアレル機能の解析を各種の分子生物学的手法を用いて検討し、これらの知見から肺癌関連遺伝子等のリスクアレルに起因する発癌分子経路を標的とした創薬スクリーニング系を検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、本研究計画の第3段階で必要となる遺伝子導入試薬、細胞培養試薬、遺伝子発現検出試薬、シークエンス試薬等およびそれに関連する消耗品費として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A genome-wide association study identifies two new susceptibility loci for lung adenocarcinoma in the Japanese population2012

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi K, Kunitoh H, Daigo Y, Takahashi A, Goto K, Sakamoto H, Ohnami S, Shimada Y, Ashikawa K, Saito A, Watanabe S, Tsuta K, Kamatani N, Yoshida T, Nakamura Y, Yokota J, Kubo M, Kohno T
    • 雑誌名

      Nature Genetics

      巻: 44 ページ: 900-903

    • DOI

      10.1038/ng.2353

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced HSP70 lysine methylation promotes proliferation of cancer cells through activation of Aurora kinase B2012

    • 著者名/発表者名
      Cho HS, Shimazu T, Toyokawa G, Daigo Y, Maehara Y, Hayami S, Ito A, Masuda K, Ikawa N, Field HI, Tsuchiya E, Ohnuma S, Ponder BA, Yoshida M, Nakamura Y, Hamamoto R
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 3 ページ: 1072

    • DOI

      10.1038/ncomms2074

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of a novel oncogene, MMS22L, involved in lung and esophageal carcinogenesis2012

    • 著者名/発表者名
      Nguyen MH, Ueda K, Nakamura Y, Daigo Y
    • 雑誌名

      Int J Oncol

      巻: 41 ページ: 1285-1296

    • DOI

      10.3892/ijo.2012.1589

    • 査読あり
  • [学会発表] Genome-wide association study of lung cancer: Variation in TP63 gene confers the risk of lung adenocarcinoma2012

    • 著者名/発表者名
      Yataro Daigo, Daiki Miki, Yusuke Nakamura
    • 学会等名
      103th AACR Annual meeting
    • 発表場所
      McCormick Place Convention Center (Chicago, USA)
    • 年月日
      20120402-20120402
  • [図書] 日本臨床2012

    • 著者名/発表者名
      醍醐 弥太郎
    • 総ページ数
      180
    • 出版者
      日本臨床社

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公開日: 2014-07-24  

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