研究課題/領域番号 |
23650632
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
大竹 陽介 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20385644)
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研究分担者 |
斎藤 豊 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90501859)
村松 幸男 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 部長 (40501870)
松田 尚久 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (30508049)
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キーワード | 大腸微小腺腫性ポリープ / 大腸内視鏡検査 |
研究概要 |
当センターにおける、研究計画の基礎となる後ろ向きのdataについては論文を作成し、現在消化器の主要英文誌に投稿中である。論文には昨年5月まで蓄積、更新されたdataを使用している。本邦では大腸がん検診としての大腸内視鏡で発見された腫瘍性ポリープはその場で摘除できない。後日改めて治療目的の内視鏡を紹介するのが現状であるが、小さなポリープは治療時には見つからないこともしばしばある。そこで、検診内視鏡で発見された腫瘍性ポリープをすぐに治療に紹介せず、経過観察可能な条件が求められる。諸家の報告から、我々は5mm未満の小さな腫瘍性ポリープは癌化の可能性が非常に低いと仮定し、開設からそのようなポリープはすぐに治療を紹介せずに定期的な内視鏡による経過観察を勧めてきた。大腸手術歴、内視鏡治療歴のない受診者において、初回内視鏡で腫瘍性病変のない受診者群(A群)と、初回内視鏡で5mm未満の腺腫性ポリープのみ発見され、それを摘除せず経過観察した受診者群(B群)の累積前癌病変(10mm以上の腺腫、高度異型腺腫、癌)の発生率を比較した。観察期間中央値は両群とも60カ月で、前癌病変発生率はA群で1.5%(27/1787)、B群で2.1%(12/573)であり有意差はなかった。5mm未満の腺腫性ポリープを摘除せず、経過観察することの妥当性が示された。この結果はポリープ摘除にかかる医療費や偶発症の軽減に寄与するだけでなく、今後検診の新たなモダリティとして期待されるCT colonographyや大腸カプセル内視鏡における発見病変の取り扱いにおける基礎となりうる重要なdataである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前向き研究のプロトコールは概ね完成しているが、いまだ院内倫理審査委員会に提出ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
可及的速やかにプロトコールの院内倫理審査委員会への提出をめざす。しかしながら本年4月に、当センターの平成26年1月からの一時的閉鎖が決定し、再開後には規模(一日当たり受診者数)を大幅に縮小することも決定した。本研究を前向きで当センターで行うのは難しい状況となることが予想され、どのような形で遂行すべきかを模索中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行に必要な物品や人件費を中心に使用してゆく。
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