研究課題/領域番号 |
23650632
|
研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
大竹 陽介 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20385644)
|
研究分担者 |
斎藤 豊 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90501859)
村松 幸男 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 部長 (40501870)
松田 尚久 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (30508049)
|
キーワード | 大腸腺腫性ポリープ / 大腸癌 / 大腸内視鏡検査 / non-referral strategy |
研究概要 |
検診大腸内視鏡検査にて発見された微小(5mm未満)腺腫性ポリープをすぐに治療目的で紹介せず、経過観察を行うnon-referral strategyについて、平成25年12月までに蓄積された症例を解析した。初回検診内視鏡で腫瘍性病変として微小腺腫性ポリープのみを認めこれを紹介せずに経過観察した受診者713例の、その後のadvanced neoplasia(癌、高度異型腺腫、10mm以上の腺腫)の発生率は観察期間中央値61ヶ月で2.8%(20例)であった。一方、初回検査で腫瘍性病変を認めなかった受診者2103例ではadvanced neoplasiaの発生率は観察期間中央値61ヶ月で1.8%(37例)であり、両者に有意差は認めなかった(P=0.097;カイ二乗検定)。さらに、初回検査における微小腺腫性ポリープの個数で層別し検討したところ、初回検査で微小ポリープを1個あるいは2個認めた症例(646例)ではその後のadvanced neoplasia発生率は2.2%(14例)であり、初回検査で腫瘍性病変のなかった症例と同等であったが、初回検査で微小腺腫性ポリープを3個以上認めた症例(67例)では同発生率は9.0%(6例)であり有意に高かった。後ろ向きの観察研究ではあるが、大腸内視鏡検査で腫瘍性病変として微小腺腫性ポリープのみ認めた集団は、5年後にfollow-upを受けるのであればこれを摘除ぜす経過観察が可能であることが示唆された。日常臨床において微小腺腫性ポリープを摘除できる状況でありながら摘除不要と提唱するには確証の高い前向きの検討が必須であるが、本検討は前向き研究を行うための安全性の担保となりうる。現在前向き研究を準備中であり、同様の結果が得られ、普及すれば大腸ポリープ摘除に伴う偶発症やコスト増加の大幅な抑制が見込まれる。
|