研究課題
日本都市部において、花粉症発症の増加傾向が顕著にみられており、飛散花粉数に伴って放出されるアレルゲン含有微小粒子を含む人為・自然起源の大気エアロゾルについて、複雑な前処理で化学組成しか測定できず、存在形態、健康への影響度合なども迅速に計測可能な新たな環境計測ツールの開発が求められ、それらの情報収集やデータ蓄積は不可欠で国際的にも注目されている。本研究では、上記微量スギ花粉アレルゲン含有微小粒子を含む大気バイオエアロゾルの化学的性状と濃度変化を特異的に測定するための新しい環境計測ツール構築を目指している。特に、表面プラズモン法(以下SPR法)を用いて生体分子と大気バイオエアロゾル中の標的活性分子の特異的相互作用、速度論的相互作用を解析し、エピトープマッピング(結合サイトの解析)、リガンドフィッシング、質量変化などを測定し、高速・高感度の計測技術として確立してきている。大気エアロゾル中のアレルゲン等の汚染動態把握のための高感度の計測ツールを開発することで、その濃度計測に加え、アレルゲンと生体分子間の相互作用の度合いを把握することも目標としている。これまでに、SPR法を用いて、都市部大気中のスギ花粉アレルゲン含有微小粒子の定量分析法を開発して、その粒径分布の計測に応用することができた。国内外に注目される結果を得られつつある。都市部大気汚染物質の影響は、バイオエアロゾルのスギ花粉アレルゲン含有粒子の微小粒子への移行やスギ花粉アレルゲンの汚染物質による変性等に大きく寄与し、スギ花粉アレルゲンは大気汚染物質と反応し、タンパク質の変性を引き起こし、スギ花粉由来エアロゾルの性質を変化させている可能性が示唆された。特に、スギ花粉飛散期の都市部環境中(降雨または高湿度)において、スギ花粉アレルゲンが変性され、それによる花粉症症状の悪化やアレルゲン物質の変性等を引き起こすことが分かった。
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