研究課題/領域番号 |
23651018
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
定永 靖宗 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70391109)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 光化学オゾン / 都市大気 / 生成速度の直接測定 |
研究概要 |
光化学オゾンの生成・消失過程を定量的に知ることは光化学オゾンの制御戦略を行う上で重要である。しかしながら、大気中のオゾンの動態は、化学的なオゾン生成が非線形的な挙動を示すことに加えて、化学的だけではなく、輸送や沈着等気象学的・物理的な要素も複雑に入り混じり、解明は困難であるとされている。本研究では上記の化学的要因と物理的要因を切り離し、「化学的な」オゾンの正味の生成速度を直接測定する装置を開発することを目的としている。 平成 23 年度では、光化学オゾン生成速度測定装置の構築を行い。概ね終了した。装置の詳細は以下の通りである。大気を二手にわけ、一方を「反応容器」、もう一方を「参照容器」に導入する。「反応容器」は石英製のチャンバーであり、「参照容器」はパイレックス製でかつ、400 nm にカットオフ波長を持つ紫外線カットフィルムを表面に施工したチャンバーである。観測では「反応容器」、「参照容器」ともに屋外に設置し、太陽光にさらした状況にする。「反応容器」ではその中で外気とほぼ同様に光化学反応させ、オゾンを生成させる。一方、「参照容器」では、紫外線が容器の中に入らないので、その中ではオゾンの光化学生成が起こらない。大気が「反応容器」「参照容器」から出てきた後、「NO 反応槽」に導入、そこでNO を添加し、オゾンを強制的に NO2 に変換する。その後、レーザー誘起蛍光法 (LIF) を用いて NO2 濃度を測定する。反応容器由来の NO2 濃度から参照容器由来の NO2 濃度を差し引いたものがオゾンの増加量となる。その増加量を「反応容器」中の大気の滞留時間で除することによって、オゾン生成速度を求める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料調達の困難さから、チャンバーの外壁をポリマーシートからガラスおよび石英に変更することになったが、装置の構築は概ね終了している。
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今後の研究の推進方策 |
できるだけ早く装置のキャラクタリゼーションを行う。具体的には、計画にも記載している反応容器中での大気の滞留時間の測定および、反応容器、参照容器内外での太陽光強度の評価を行うことに加えて、「NO 反応槽」中の O3 から NO2 への変換効率の測定および最適化も行う。また、大学屋上のスペースを用いてテスト観測も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度において、チャンバーの外壁について仕様の変更を行なったため、次年度繰越の研究費が生じている。次年度は当初の予定通りキャラクタリゼーションやテスト観測等を行うが、「NO 反応槽」中の O3 から NO2 への変換効率の測定が当初考えていたよりも試行錯誤が必要なため、それらの実験に必要な物品について研究費を使用する予定である。
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