研究課題/領域番号 |
23651020
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
長門 研吉 高知工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (80237536)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | FAIMS / エアロゾル |
研究概要 |
本研究では最初にFAIMSと申請者が開発した大気圧質量分析計を組み合わせたFAIMS/MSシステムの構築を行う。大気圧中で生成させた様々な組成のイオンおよびイオンクラスターを用いてFAIMS/MSの動作確認、性能評価を行うと同時に、イオンの組成や構造と移動度の電場強度依存性の基本的な関係について把握する。その後実大気中での測定ターゲットである硫酸を含む分子クラスターおよびナノサイズ微粒子についての測定実験行う。アンモニアやアミン、その他の有機化合物を加えた様々な分子クラスター、ナノサイズ粒子を生成し、組成変化に対して移動度の電場強度依存性がどのように変化するのかを詳細に調べ、FAIMS法による大気中の核生成前後の分子クラスターやナノ粒子の成分分析の可能性について評価を行う。平成23年度はFAIMS(Field Asymmetric waveform Ion Mobility Spectrometry)を大気微粒子の分析に応用するために、FAIMSと既存の大気圧イオン化質量分析計を接続するためのインターフェイスの設計を行った。FAIMS分析部は英国Owlstone社製のマイクロマシニング加工によって製作された小型チップを使用する予定で設計を進めた。Owlstone社よりチップの図面を取り寄せて質量分析計との取り付け方法について具体的な設計を行った。また、すでにFAIMSの利用が進んでいる生体分子分析について調査を行い、微粒子分析に応用可能な分析方法について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FAIMSと既存の大気圧イオン化質量分析計を接続するためのインターフェイスの設計を行った。計画ではFAIMS/MSシステムの構築の後、空気中で生成させた様々な組成のイオンおよびイオンクラスターを利用するして実験システムの動作確認および性能評価を行う予定であった。しかしながら、実験で使用するFAIMSチップの開発が、供給元であるOwlstone社側で遅れており年度内にFAIMS/MSシステムの構築までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Owlstone社におけるFAIMSチップの設計が遅れていたが、平成24年度前半には完了する予定である。チップが入手でき次第、FAIMS/MSシステムの構築を行い、性能の評価を進めていく。これらの作業には空気中で生成させた様々な組成のイオンおよびイオンクラスターを利用する。具体的には高純度空気に水蒸気、CO2、NO2などを添加し、放電または放射線の電離によって生成させたH3O+(H2O)n、O2-(H2O)n、O3-(H2O)n、CO3-(H2O)n、CO4-(H2O)n、NO2-(H2O)n、NO3-(H2O)n、などの正・負イオンを利用する。水和クラスターイオンの分布は水蒸気量を変化させて調整する。これらのイオン種は実際の大気中でも生成しているイオン種であり、FAIMS/MS測定から、大気中に存在するイオンの組成や構造の違いが、それらのイオンの移動度の電場強度依存性とどのような関係にあるのかを把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度にFAIMSチップおよび関連部品の購入を予定していたが、チップの開発が間に合わなかったため購入経費は平成24年度に繰り越してある。今年度分の経費と合わせてFAIMSチップおよび関連部品の購入と、実験に必要な部品の製作および購入に使用する予定である。また国内で開催される関連の国際学会に参加して関連技術の調査を引き続き進める。旅費はそのために使用する。
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