海洋古細菌(マリンクレンアーキオータ)の代謝に関する情報(従属栄養・化学合計独立栄養の割合)、炭素循環におけるその役割(規模)について知見を得るため、海洋深層水取水施設でのサンプリングの実施し、古細菌(大きさ平均0.5-0.2μm)細胞膜由来テトラエーテル脂質(GTGTs)の放射性炭素の測定を行った。14Cの結果と併せて、現場培養、文献値などを総合した海洋古細菌マリンクレンアーキオータによる海洋における炭素固定量の試算を行った。駿河湾で求められた48-54%のクレンアーキオータが炭素固定をしているとしているとした場合の計算結果は、1.29Gt C/yrから6.29Gt C/yrと試算される。またこの規模は、海洋一次生産量50 Gt C/yrと比較すると約2.5%から13%になる。これは、海洋全層におけるDIC量38000GtCと比べてみると、約数万年規模で交換する規模と計 算される。このことは、現在、海洋DOCの放射性炭素年代が6000年以上と古いことを考慮すると海洋DIC物理的プロセスによる交換無しに微生物ループを通じた交換だけで生じて板場合、少なからず極端な計算結果を与えていないことを示唆するものであった。
|