研究課題/領域番号 |
23651026
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三橋 弘宗 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50311486)
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研究分担者 |
田中 哲夫 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40244694)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 河川生態系 / 生物多様性情報 / 施策化 / 地図化 / 自然再生 / 戦略的環境アセスメント / 博物館 / 河川整備計画 |
研究概要 |
本年度は、主に4つの事項について研究を進めた。1)生物多様性情報の整備と空間データ処理:兵庫県内の河川を対象とした生物多様性データの整備を行い、各種環境情報との空間関係からオーバーレイによる相互参照が可能な状態に整備した。具体的には、これまで調査された各種資料のデジタル化とジオコーディングを完了させると同時に、河川のラインデータを任意の間隔に分断して、セグメント化し、物理環境要因(WSA,SPI,SLOPEなど)を付与した。2)生態系評価の試行:整備したデータをもとにして、兵庫県全域における底生動物および魚類の種数を予測する統計モデルをGLMM、GAM、ランダムフォレスト法により構築して、潜在的な種数を予測し、予測値と実測値の乖離(O/E)から環境へのインパクトを評価した。また、物理環境データに基づいて生態系へのインパクトを序列化して評価した。これらの評価値をもとにして、重要な生息場所と課題のある生息場所の抽出を試行した。また、これまで評価が難しかった河口部付近の物理環境情報の評価手法の開発を行った。3)小規模な自然再生事例の収集:具体的な自然再生事例を収集し、広域の生態系評価から得られた重要な生息地および課題のある箇所において、対策可能な事例について情報収集を行うために、兵庫県内外の河川での情報収集を行うとともに、三田市を流れる池尻川における施工事例の評価を行った。4)海外事例の収集:米国における生態系評価事例を参照するために、アメリカ自然史博物館を訪問し、生物多様性情報の収集と活用、情報発信や施策との関連性について情報収集を行った。これらの事例を施策のフレームワークとして統合するために、河川生態学者や行政関係者との協議や議論、ワークショップ等を通じて地図化の方法論や希少種対策の技術検討、全体フレームの構築と体系化の素案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに整備した生物多様性情報に基づいた生態系評価は概ね見通しがつき、解析の試行で十分な手応えを得たが、海外事例については十分な知見を収集できていない。米国ニュ-ヨーク州では、我々が期待している成果があがっておらず、施策化についても必ずしも十分ではなかった。情報収集から施策展開までを一貫して進めている事例はごく限られており、事例収集が難航している。
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今後の研究の推進方策 |
国内の情報に基づく生態系評価や施策スキームの構築は、予定どおり進んでいる。海外事例の収集については、こちらが想定しているほど充実した事例が乏しいために、この部分をあまり重点化せずに、現在、我々が進めている独自の方法でのスキーム構築に重点をおいた方法で進める。海外事例については、オーストラリアにおける事例収集をすすめ、諸外国における環境評価手法の課題を解決する形での施策展開について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外旅費(オーストラリア)への出張費用に加えて、国内事例の収集として旅費を利用する。また、広域データ処理における単純作業およびデータ追加整備、空間データ処理において謝金を利用することを予定している。
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