本研究は地球温暖化の原因とされる温室効果ガス、特にCO2量の大幅な削減のために、現在は対象になっていない森林火災から排出される分を含めるとともに、森林火災を減少させることが、CO2量の大幅な削減に直接繋がり、しかも、森林火災を排出権取引の対象に入れることで、木材資源としての保護や有効利用が図れるという構想である。 研究計画にあるように、国立環境研究所、森林総合研究所、IGES、JAXAなど本研究課題の遂行に関して国内の研究所等の専門家に本構想についての意見交換を行った。結果としては、現在のインベントリに追加するには難しい状況であることや第二期約束期間後の取り組みが不透明なため、本研究を積極的に推し進めようということにはならなかった。ここで、技術的な課題として、1.火災の早期発見・消火方法、2.森林火災から排出されるCO2量計測方法の信頼性、の2つを解消することが重要であることを再確認できた。 一方、ロシア科学アカデミーシベリア支部(ノボシビルスク)でロシアの森林火災研究者を招集してセミナーを開催した。ここでは、森林火災から排出されるCO2量の論議までは至らなかったが、早期発見・消火の方法論については大いに論議された。 火災の早期発見には現在衛星画像を用いた方法が主流になっているが、火災からの熱を検出する原理に基づいている。宇宙から森林の熱を検知した場合には既に大火になっているので初期消火活動に影響を及ぼす。そのため、本研究では火災から発生する煙の検出方法を開発した。この方法はまだ実際に活用されていないが、火災発生から1時間以内の消火活動の開始を可能にする方法と期待している。この研究は学術論文での公表および国際会議で報告した。
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