エリノア・オストロム氏らの、共有資源管理分析枠組「IADフレームワーク」や地域共同体管理の成功条件「8つの設計原理」を通して、日本の共同体型沿岸漁業管理制度を、政府の関与形態を含めて検討した。 利害対立や乱獲回避を目的とする漁業調整制度などの沿岸漁業制度をIADフレームワークに従って把握した結果、側面支援的な政府の関与と合わせて、共同体の自主管理が、設計原理の諸条件をかなりの程度満足することが示された。共同体を核とするシステムの基本構造は、将来に亘っても意義あるものと評価できる。一方で、新規参入者を許容した際の共同体の機能や、沖合・遠洋まで広げた際の管理という点では、課題の存在が示唆される。
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