研究課題/領域番号 |
23651036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
SINGER Jane 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00570003)
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研究分担者 |
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Dam-induced displacement / Resettlement / Ethnic minorities / Community resilience / Hydropower dams / Participatory approaches / Catu ethnic group |
研究概要 |
平成23年度は本研究プロジェクトの初年度にあたり、ベトナム中部の4つの集落について村落移転の現状と集落の再興に関するフィールド調査を行った(平成23ベトナムの年6月、8月、9月と平成24年1月、3月の計5回)。 調査は研究代表者シンガーと共に、研究協力者、ベトナム語通訳、現地の民族言語の通訳らを交えて行われた。フィールドでは対象の村落全体へのアンケート調査、インタビュー、参加型調査手法などを用いて調査を行ったため、それらの調査に対応できるよう、通訳には事前にトレーニングを行って同行してもらった。その上で、村落移転による土地利用、生計、社会資本の変化を把握し、生活状況と生計を向上させるために取られている手法について検証した。またベトナムの移転に関する法律上、及び政策上の規定が実際の自治体レベルでどの様に実施されているのか調査した。同一の省内の異なる村落について、村落移転のプロセスに関わる意思決定において住民参加の状況や、地域特有の問題点についても検証している。 フィールド調査に加えて、地方自治体職員、少数民族問題のベトナム政府担当者、開発に関するNGO代表者、文化人類学者らに対してインタビュー調査を行い、少数民族の文化的背景と開発問題についての理解を深めた。これらの調査の成果は2つの国際学会(World International Studies Committee、Asian Association for Global Studies)や学内ワークショップなどの場で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトチームは2つの村落の全世帯に対してアンケート調査を完了した。その他の2つの村落に関してもほぼ全世帯に対して調査を終えている。また調査の過程で比較対象としてさらに別の移転村落を抽出し検証した。これらの調査を通じて得られた情報とその検証結果は学会発表を通じて精査されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年8月と9月に再度調査対象の村落を訪れ、土地利用計画と居住状況に関して調査を行う。移住に関する住民参加と政府の実施状況に関しても、大学院生のインターンらに研究補助をお願いしながら、継続して調査する計画となっている。また2年間に渡るプロジェクトを通じて得られたデータを検証し、開発による移住を専門とする研究者らによるセミナーなどの研究発表の場を主催、又は共催で開催する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年1月と3月に行ったフィールド調査で行ったインタビューの通訳や翻訳作業が当初の予定より時間を要しているため、それらの調査費用(3万5千円程度)が平成24年度に持越しとなった。本年度支出計画に大幅な変更予定はなく、8月と9月のフィールド調査、それらの調査での通訳、研究補助で収集した資料の翻訳などに使用する。また研究発表を行うセミナーの開催費用として使用する計画である。
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