研究課題
本挑戦的萌芽研究「制度論的アプローチによる地球持続性学の構想」は、持続性を規定する主要な4要素である環境的持続性、社会的持続性、経済的持続性および制度的持続性の中で、制度的持続性に着目し、制度論の観点からグローバル社会の持続性学のあり方を探ろうとしたものである。また、2011.3.11の東日本大震災と福島原発事故をうけ、震災復興や原子力リスク・ガバナンスのあり方についても、社会的能力と制度という観点から検討し、地球社会の持続性への示唆を明らかにしようとした。制度論と持続性研究では、アジアの環境ガバナンスに焦点を当て、その特徴や発展メカニズム、さらにはアジア地域統合と環境ガバンスとの関係を考察し、研究成果を松岡(編)(2013)『アジアの環境ガバナンス』勁草書房として出版した。編著では、アジア地域の様々な環境制度が、何らかの基軸制度を持ち、相互に補完しあう関係にあり、全体として東アジアの地域環境に関する「制度の束」、あるいはビルディング・ブロックとして機能しているのか、それとも相互に競合・分裂・相殺する関係(スタンブリング・ブロック)にあるのかが重要な論点であるが、現状では評価が難しく、様々な試行錯誤が行われている段階と評価した。また、インフォーマル性、コンセンサス主義、オープン・リージョナリズムといったアジア地域制度の特徴の変容過程も論じた。東日本大震災と福島原発事故を受けた震災復興と原子力リスク・ガバナンスと持続性に関する研究成果としては、松岡(2012)『フクシマ原発の失敗』早稲田出版、松岡他(2013)『原子力規制委員会の社会的評価』早稲田出版、松岡(編)(2013)『フクシマから日本未来を創る』早稲田出版という3冊を刊行した。これらの著書で、災害復興や原子力リスク・ガバナンスの構築においても、社会的能力形成と制度形成との関係分析が重要であることを明らかにした。
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Public Policy Review
巻: 10(1) ページ: 189-226
International Environmental Agreements: Politics, Law and Economics
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10.1007/s10784-013-9219-0
ファイナンシャル・レビュー
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http://www.f.waseda.jp/smatsu/index.html