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2012 年度 実績報告書

低線量率放射線による組織幹細胞への放射線障害蓄積性の時空間的解析手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23651051
研究機関一般財団法人電力中央研究所

研究代表者

大塚 健介  一般財団法人電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (50371703)

キーワード放射線 / 組織・細胞 / 癌 / 発生・分化 / 遺伝子 / 幹細胞 / 低線量 / 腸管
研究概要

本研究は放射線に対する障害を、幹細胞の組織内動態の観点から定量的に解析することにより、発がんに至る組織レベルでの放射線障害の蓄積性を明らかにし、これを低線量・低線量率放射線の個体レベルでのリスク評価に資することを目的とした。組織幹細胞のモデルとして、発がんへの寄与が明らかとなっている腸管幹細胞(Lgr5陽性細胞)に着目し、Lgr5陽性細胞に対しタモキシフェン依存的な時期特異的組換えによりレポーター遺伝子の発現を誘導することで、組織幹細胞とその子孫細胞を長期間追跡する手法(Lineage tracing)を利用し、放射線誘発による腸管組織のターンオーバーを定量的に評価する方法を開発した。Lgr5陽性細胞は高線量(3Gy)照射では十二指腸から大腸にかけて広く細胞数を減少させたが、低線量(1Gy以下)の場合には、十二指腸のLgr5陽性細胞数には影響がなく、大腸のLgr5陽性細胞のみが顕著に減少することが分かった。レポーター遺伝子としてLacZもしくはtdTomatoを発現させ、放射線誘発の幹細胞の組織内ターンオーバー頻度を観察したところ、大腸でレポーターを発現した幹細胞由来の組織が顕著に減少し、それは線量依存的であった。このことから、放射線による幹細胞ターンオーバーは、放射線感受性のLgr5陽性細胞を有する大腸に着目することで、定量的かつ高感度に検出できることが明らかになった。また、高線量率放射線によって失われた大腸のLgr5陽性細胞は、その後新たに合成され供給されることが明らかとなり、これにより組織修復がなされていることが推察された。これらの幹細胞を中心とした組織動態は放射線によるがん化過程を知る上で重要な知見である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Ionizing Radiation Leads to the Replacement and de novo Production of Colonic Lgr5+ Stem Cells2013

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Otsuka
    • 雑誌名

      Radiation Research

      巻: 179 ページ: -

    • DOI

      10.1667/RR3253.1

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of the radiation-induced turnover of intestinal stem cells

    • 著者名/発表者名
      大塚 健介
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌(北海道)
  • [学会発表] Evaluation of the radiation-induced turnover of intestinal stem cells

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Otsuka
    • 学会等名
      Annual Meeting of Radiation Research Society
    • 発表場所
      Rio Mar Resort Hotel(アメリカ)

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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