植物進化の環境適応形態を模擬したコンパクト受光システムの開発により、以下の結果を得た。本研究では,現実に近い高等な植物の受光形態を模擬するために,複雑な分岐構造を記述できるL-System の考え方を導入した。これにより,環境条件(全天日射量,直達光と拡散光の割合,外気温度,風や降雤量,積雪量,他の物体による影など)を考慮した,受光密度の最大化目的下での最適な受光体の分散配置の計画,すなわちコンパクトな受光システムを達成することができた。また、最終年度には以下の成果を得ることができた。 ○ 植物シュートを模擬した受光面の受光量試験 夏季の太陽の位置は,仰角・方位角共に移動範囲が広い。一方,冬季では仰角・方位角の移動範囲が狭いことから,植物シュートで日射を最大に受ける最適形態は,受光面(葉)の仰角が小さくなるように配置される。ただし受光面が複数ある場合,重なりを避けるために方位角を広くとるように配置される結果も予想される。このような特徴を持つシュート形態の受光量を,数値実験から見積もった。 ○ 設置スペースのコンパクト化に関する評価 数値実験で得た,植物シュート形態の最適解に基づいて,受光面を分散配置したときのソーラー発電システムについて,設置スペースを評価した。この結果から、植物形態を模擬した受光システムが開発されると,従来の平板タイプの太陽電池モジュールの設置スペースと比較して大きくコンパクト化が達成されることがわかった。
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