研究課題
挑戦的萌芽研究
高性能空気極支持膜式セルを安価なデュアル乾式成膜法(dual dry pressing method)とコーティング及び共焼結法を基本とした製造プロセスを確立した上で、空気極支持膜と解質を一体にしたハーフセルの上にアノード材料を塗布・形成・共焼結したセルを創製し、(1)セル構成材料の仕様(新規材料・粒度・混合割合など)とナノ-ミクロ構造制御・組成制御等の手法による空気極支持膜の改善;(2)発電特性とアノード電極反応ガスの並行分析;(3)SEMやXRD等の手法による発電試験前後の電極材料・構造の変化分析などの方法を用いて、多様な燃料(H_2,CH_4,CO等)適応型SOFCアノードの高性能化及び炭素析出による性能劣化への抑制条件を検討した。その結果、LSM-SDC/ScSZ/Ni-SDCセルの発電評価試験より、Aサイト欠陥型LSMは、空気極支持膜/電解質膜界面の変質抑制に効果的であることを明らかにする他、グリシン硝酸塩法(Glycine-nitrate combustion process)より合成したアノード合金材料を用い、作製したLSM-CGO/ScSZ/NiCuO-CGOなどのセルの発電試験によって、高電流密度領域におけるNiベースアノードの急速劣化現象を突き止め、その劣化の原因は電流密度増加に伴い生成したH_2Oが増加し、p(H_2O)/p(H_2)圧力比が高くなることによってNi合金中のNiが再酸化または焼結が急速に進んだことによるものと明らかにした。また、低濃度H_2燃料の場合でも、電流密度増大によってアノードの急速劣化が早くなり、急速劣化開始のしきい値は圧力比p(H_2O)/p(H_2)によって決まることを明らかにした。
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