研究課題/領域番号 |
23651061
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀田 知人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60333895)
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キーワード | 層状複水酸化物 / ヒ素 / セレン / 吸着 / 還元 / インターカレーション / 鉄イオン / ドープ |
研究概要 |
排水中のAsやSeなどの重金属オキソアニオンは、異なる酸化状態を有するため、既存の処理法では対応が複雑かつ困難な場合もある。Seの場合は排水中では主にセレン酸イオンあるいは亜セレン酸イオンの形で存在しており、水酸化第二鉄共沈法を用いて処理を行う場合、セレン酸イオンを亜セレン酸イオンに還元してから処理を行う必要がある。そこで本研究では、オキソアニオンの酸化状態によらず一回のプロセスで簡便に処理を行うため、Fe2+をドープしたMg-Al系層状複水酸化物(Mg-Al-Fe LDH)を用いてAs及びSeの除去を検討した。 1mMのAs(V)溶液及びSe(VI)溶液500mLを調製し、Al/As又はAl/Seで量論比1~3でFe2+をドープしていないMg-Al LDH(Mg/Al=3)及びMg:Al:Fe=3:1:1の比をもつMg-Al-Fe LDHを添加した。 各LDHによるAs及びSeの除去率を検討した結果、量論比の増加に伴って除去率は大きくなった。また、Fe2+をドープしたMg-Al-Fe LDHのほうが各量論において高い除去率を示した。Mg-Al LDHへのFe2+のドープはAs及びSeにおいて吸着能を向上させることがわかった。これは、LDHにおける塩化物イオンとオキソアニオンのアニオン交換反応に加え、Fe2+によって還元反応が進行したためであると考えられる。LDHのアニオン交換反応における層間への取り込みやすさはアニオンの電荷密度と対応しており、電荷密度が大きいほど層間へインターカレートされやすい。セレン酸イオンが亜セレン酸イオンに還元されるとイオン半径が小さくなり、それに伴い電荷密度が大きくなるので、より優先的にアニオン交換反応が進行したのではないかと考えられる。Asについても同様にヒ酸イオンが亜ヒ酸イオンに還元されたため、インターカレートされやすくなったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
反応機構等を明確にする必要があるため。また、水溶液中でオキソアニオンで存在するアンチモンについても検討する必要がある。科研費の執行も、積極的に行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平衡論的、速度論的、熱力学的に、反応機構を明らかにする。また、水溶液中でオキソアニオンで存在するアンチモンについても検討する。科研費の執行も、積極的に行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究の遅滞に伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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