研究課題/領域番号 |
23651067
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
児玉 昭雄 金沢大学, 機械工学系, 教授 (30274690)
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研究分担者 |
大坂 侑吾 金沢大学, 機械工学系, 助教 (70586297)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 吸着 / 二酸化炭素 / 水蒸気 / ゼオライト / デシカント / 温度スイング / 湿度スイング / 水蒸気再生 |
研究概要 |
本年度は,温度スイング吸脱着操作によるCO2の分離技術において,CO2と共吸着質となる水蒸気がCO2分離能に与える影響の定量評価を行った.CO2の分離能を有し,かつ水蒸気の吸脱着を得意とするデシカント用ゼオライトを用いて,模擬燃焼排ガス中に存在する水蒸気がCO2吸着能に与える影響,水蒸気によるCO2脱着の可能性を固定層吸着破過実験により評価した.また,サイクル運転による,吸着材内の水蒸気の蓄積がCO2分離能へ与える影響をサイクリック吸脱着試験により評価を行った. 固定層吸着破過試験の結果,模擬排ガス中に存在する水蒸気はCO2と比して希薄であるため,絶乾の吸着材を用いる際には,CO2平衡吸着量,吸着速度ともに影響を与えないことを明らかにした.また,吸着材内に吸着された水分量とCO2吸着能は線形相間があることがわかった.サイクリック温度スイング吸脱着試験により,サイクル時間,脱着温度,湿度などをパラメータとして検討を行った.市販のCO2吸着能を有するゼオライトは,水蒸気の有無により,性能が2割程度しか発揮できないことと比較して,水蒸気の吸脱着を得意とするデシカント用ゼオライトでは,6割程度の性能を維持し,水蒸気の存在下でもCO2の分離能を高く維持可能であることを明らかにした. これらより,水蒸気の吸脱着を得意とするデシカント用ゼオライトを用いることで,蒸気による脱着が可能であること,ならびに,吸着時の水蒸気阻害の影響が小さいことが確認され,湿度スイングによるCO2分離可能性があることが実験的に明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画通り,固定層吸着破過実験による,水蒸気共存下におけるCO2分離能への影響,蒸気脱着の可能性,ならびに,サイクリック温度スイング吸脱着実験により,影響が大きいと考えられる湿度と再生温度が,CO2吸着能に与える影響を実験的に明らかにした.蒸気脱着操作の予備検討として,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,蒸気再生を付与した温度スイング吸脱着法によるCO2分離の高効率化を目指して,数学モデルの構築を行う.固定層吸着破過装置により,物質移動係数の評価を行い,ハニカム層内での物質移動挙動に与える蒸気の効果を数値化する.構築した数学モデルにより,最適操作指針(ガス流速、二酸化炭素濃度、再生温度、湿度、ロータ回転数、ロータ分割比率)を数値解析的に最適化し,性能予測とプロセスの高度化を行う.また小型実験機を用いたサイクリック試験により,湿度スイング操作による二酸化炭素吸着回収を実験的に検証するとともに,数学モデルの有効性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
小型実験機用に、流量調整器(マスフローコントローラー;15万円)を2台購入する。また、模擬排ガス用に二酸化炭素(30kg入り;7千円)が5本程度必要になる。旅費として化学工学会秋季大会(東北大学;3泊4日,2名)参加のため、15万円を使用する。残り15000円および前年度繰越金1943円は、配管材料の購入に充てる。なお、前年度繰越金は研究担当者の執行金額計算違いにより発生したものである。
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