研究課題/領域番号 |
23651068
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 義弘 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (80345933)
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キーワード | 超音波 / 超臨界二酸化炭素 / 抽出 / 分離 / 回収 / 振動子インピータンス |
研究概要 |
固体もしくは液中の対象資源を分離,回収する環境低負荷型技術として,超臨界二酸化炭素流体を活用した抽出技術が知られている。一方,超音波は物理的作用を有し,流体中に作用させると攪拌効果,物質移動促進効果が期待できるため,溶媒抽出法の効率化を促進する手段として応用が可能である。本申請研究では,高効率で環境負荷の低い抽出プロセスの構築を目指して,超音波支援による超臨界二酸化炭素媒体を活用した対象資源の分離,回収技術の開発に向けた検討を行う。今年度は,昨年度に設計,作製した超音波支援型超臨界二酸化炭素抽出装置を用いて,抽出プロセスにおける超音波照射効果について,コーヒー豆(粉砕後,一定範囲内の粒径に篩い分けされたコーヒー豆試料)からのカフェインの抽出挙動から検討を行った。超臨界二酸化炭素抽出法(SFE)と超音波支援型超臨界二酸化炭素抽出法(USFE)によるカフェイン抽出量の経時変化を比較したところ,USFEの方が抽出速度は速く,超音波照射による抽出促進効果が確認された。USFE処理後の残渣試料を観察したところ,粒径がSFE処理後のものより減少していることがわかった。この粒径の変化にともなう比界面積の増加が,USFE処理による抽出速度向上の要因の一つと考えられる。さらに,USFEの場合,超音波駆動電力の増加とともにカフェインの抽出速度が増加した。また,熱水抽出処理を行った場合,コーヒー豆中のカフェイン以外にクロロゲン酸も抽出されたが,SFEとUSFEで処理した場合はともにクロロゲン酸の抽出は確認されず,超臨界二酸化炭素流体を用いた処理では超音波照射下でも抽出物質の選択性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の申請計画内容は,「超音波照射下での超臨界二酸化炭素流体を用いた「固体廃棄物もしくは廃液からの効果的な有価資源回収プロセス開発」の可能性について検討することであり,概ね計画通り研究は進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
超音波照射下での超臨界二酸化炭素流体を用いた「固体廃棄物もしくは廃液からの効果的な有価資源回収プロセス開発」の可能性について検討する。温度,圧力,超臨界媒体の流量,超音波強度および振動子インピータンス特性に基づいて決定した周波数を操作パラメータとして実験を行い,とくに抽出効率に及ぼす超音波照射効果の影響を明らかにする。さらに,操作条件の最適化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的には抽出実験用の薬品,抽出流体媒体の二酸化炭素ガス,超音波発振用振動子,反応器,背圧弁,ステンレス管等の消耗品,さらに抽出物質分析用の試薬,ガラス器具,フィルター,分析カラム等の消耗品を購入する。
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