研究概要 |
セルロースから成る繊維廃棄物(古着や古タオル)の分解と高度有効利用化を目的とし、セルロース物質をモデル物質として超高温高圧水蒸気爆砕処理によるセルロース成分の可溶化(グルコースへの糖化)実験を行った。従来、セルロースの分解すなわちグルコースへの糖化はセルラーゼ(酵素)を用いて行われてきたが、力価の高い酵素は高価格であり、酵素を用いた未利用資源の活用法には費用対効果の問題があった。本研究では、セルロースの糖化において、酵素フリーで行うことを目標とし、超高温高圧水蒸気爆砕処理によるセルロースのグルコースへの直接糖化を検討した。セルロースモデル物質としては、粉末の微結晶セルロースとセルロースファイバー繊維を1cm×1cmの大きさに裁断したものを用いて行った。それぞれの試料を水蒸気圧力50,55,60,62atmにて、蒸煮時間を0.5,1,3,5分として処理を行った。それぞれの水蒸気圧力を温度に換算すると、264, 271, 276, 278℃にあたる。その結果、最大のグルコース量が得られたのは、微結晶セルロースでは、水蒸気圧力62 atm, 蒸煮時間1分であり、乾燥セルロース試料重量あたり33%であった。また、セルロースファイバー繊維では、水蒸気圧力60atm, 蒸煮時間1分で最大のグルコース生産量41%が得られた。また、グルコース以外の水可溶性の糖の収率は、微結晶セルロースでは53%、セルロースファイバー繊維では68%が回収できることが明らかとなった。
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