研究概要 |
超高温高圧水蒸気爆砕処理によるセルロース物質の可溶化を検討するために、モデル繊維としてセルロース繊維ベンコットM-3(旭化成製)を2 cm x 2 cmに裁断したものを用いた。また、比較として微結晶セルロース粉末(Merck製およびAlfa Aesar製)についても検討した。それぞれの試料50gを超高温高圧水蒸気爆砕処理装置(NK-2L)の2Lの反応容器に入れ、種々の爆砕条件(蒸煮圧力50, 55, 60および62 atm、蒸煮時間1分)での超高温高圧水蒸気爆砕を試みた。処理後は、爆砕物の水可溶部(発酵可能なグルコースおよび一部過分解物)と水不溶部(発酵不可能なセルロース)に分離し、可溶部分に含まれるグルコースを含む可溶性糖を定量したところ微結晶セルロース粉末では、蒸煮圧力62 atm、蒸煮時間1分で最大量(52.8%)が得られ、また、ベンコットM-3では、蒸煮圧力60 atm、蒸煮時間1分で最大(67.7%)の可溶性糖が得られることがわかった。この結果により、超高温高圧水蒸気爆砕処理を用いた繊維状および粉末状のセルロース物質の可溶化条件の基礎的知見を得ることができた。
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