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2011 年度 実施状況報告書

自然エネルギーを用いた海水の淡水化・汚水の清浄化装置に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23651079
研究機関仙台高等専門学校

研究代表者

羽賀 浩一  仙台高等専門学校, 地域イノベーションセンター, 教授 (30270200)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード海水の淡水化 / 太陽エネルギー / 風力 / 自然エネルギー
研究概要

本研究で提案する海水の淡水化装置は、(1)海水の淡水化部、(2)海水揚水部、(3)海水予備加熱&フィルタ部で構成される。平成23年度は、淡水化装置の中で最も重要な部分となる(1)海水の淡水化部に注力し、実使用条件に最も近い構成を持つプロトタイプモデルを試作した。研究計画では、海水の蒸発部の構造設計、海水を微細化して蒸発させる拡散板の構造の検討、高温で回転軸が熱偏芯しない調芯装置、水蒸気の自然冷却システム、移動可能な軽量化の実施に努めた。拡散板はメッシュ素材円筒容器の検討も加えて6種類の拡散板を準備し、最終的にはスリットを入れた平板拡散板の淡水化効率が41%と最大になることを確認した。水蒸気の自然冷却には蒸発した水蒸気にヒートパイプの片端を接触させ、残りの片端の7割を大気中に置き、さらにそれを風力で空冷した。当初室内でヒーター加熱により予備実験を行ったところ淡水化効率41%が得られ、この装置を屋外に持ち出しフイールドテストを試みた。しかし、淡水化効率は1桁台から増加せず、パラボラ反射板を太陽光に追従させるのみでは蒸発容器の熱分布が不均一となり、蒸発容器と反射板の両者を太陽光の照射方向に同期させる必要があることが明らかとなった。その後、装置を大幅に設計変更し、両者を振り子構造で同期させることに成功した。蒸発容器の熱分布を測定したところ、容器全体が均一に加熱されることが確認できた。その後、太陽光の照射熱量と蒸発容器に加わる熱量の数値計算から、(1)パラボラ反射板を高反射率のAl板とすること、(2)蒸発容器からの熱輻射が照射量の半分を占めることから太陽光を高効率で吸収させ輻射を抑える選択吸収構造が必要となることが確認され、淡水化効率の向上にはこの2点を研究課題として平成24年度に解決する必要があるという結論に至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遅れの最大の理由は3月11日に東北地方を襲った大震災の影響に他ならない。震災後4ヶ月間は学内施設の復旧に明け暮れ、その後実験を開始した。その結果、実質的な研究期間は8ヶ月程度しか得られず、当初計画に遅れが発生した。また、昨年度の11月以後の冬期は東北地方は従来になく積雪量が多く、寒波の影響で周囲温度が低いため屋外におけるフィールドテストが殆ど出来なかった。また、想定外の研究課題が出現し、装置を全て設計から見直し、設計に多くの時間が割かれた。

今後の研究の推進方策

本研究では学内にある地震で破損したITに関連した分析装置を利用することは少なく、遅れの最大の原因は機械加工を司る工作室の装置が使えなくなったことにある。また、想定外の研究課題の解決に向けて6月~8月は装置設計に重点を置き、10月当初から装置の改造に漕ぎ着けた。今年の2月には装置を完成させることが出来た。想定外の研究課題の解決を本年度の最大の目標とし、当初計画したスターリングエンジンによる海水の揚水部についての研究は中断することにした。研究課題(1)はパラボラ反射板の反射効率をAl板と多層反射膜により90%以上に増加させること、(2)は国内外の選択吸収材のメーカに協力を依頼し、蒸発部に選択吸収膜を適用させ、吸収率に対して熱輻射率の割合を現行の40%程度から5%以下に減少させることにより太陽光の更なる利用効率の増加を図る。この2項目の実施により、フイールドテストでの大幅な淡水化効率の向上を目指す。

次年度の研究費の使用計画

研究の推進方策に記載したように、本年度は2項目の研究課題である太陽光の利用効率の向上に特化する。太陽光は可視領域から赤外領域まで広範囲にスペクトルが分布している。また、自然光を相手にしようとすると日々の天候に左右され、定量的な評価が難しいことから、人工太陽光を実現させるソーラーシュミレータを購入する。また、パラボラ反射板の素材を数社から納入し、それを加工して現状の反射板と入れ替えるための原料費と加工費に使用する。次に、選択吸収膜の導入費用にも研究費を充てる。その他の費用としては殆どが加工部品等の消耗品に消費する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 自然エネルギーによる海水の淡水化、汚水の清浄化装置の開発2012

    • 著者名/発表者名
      大杉昭平、金子義生、瀧澤義浩、羽賀浩一
    • 学会等名
      平成24年東北地区若手研究者研究発表会
    • 発表場所
      仙台高等専門学校(仙台)
    • 年月日
      2012年3月9日

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公開日: 2013-07-10  

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