研究課題
Si太陽電池は高効率な発電が可能であるが、生産コストが高いことが問題とされている。そこで近年では単純作製工程で高効率化が可能なCu(In, Ga)Se2 化合物 を用いた薄膜太陽電池が注目され、結晶Siに次ぐ高い変換効率が得られている。しかし希少金属In、Gaと有害元素Seを含むことが問題であるため、更にその代替材料としてCu2ZnSnS4化合物(CZTS)が注目され始めている。CZTSは構成する元素が豊富に存在すること、人体に無害であること、太陽電池に適した光学特性を持つこと、簡単な作製工程であるという長所が挙げられる。しかしCZTS薄膜太陽電池の変換効率を向上させるために有害元素Cdを含むCdSを界面層として用いていることが問題となっている。そこで本研究では、Cdを使用しない低環境負荷でレアアースを使用しないCZTS薄膜太陽電池を作製することを目的とし、CdS代替材料として有機材料を検討している。これまでの研究で界面層には高抵抗率と高透過率である材料が望ましいと考えられており、有機材料の多くはこれらの条件を満たしている。平成24年度までの研究において様々な低分子系有機材料を界面層材料として検討した。特に有機材料の中でも高い電子輸送性と耐熱性を持つフラーレン(C60)に注目した結果、界面層が無い場合と比較して変換効率が向上することが分かった。またC60界面層の膜厚を変化させた場合の発電特性について調べた結果、変換効率は界面層が無い場合において0.25 %であり、C60の膜厚が約5 nmのときに最大値をとり0.47 %であった。最終年度である平成25度は更に受光層の全ての層を溶液法で成膜することを目指し、界面層として溶液法で成膜可能な有機材料を使用した。PCBMや導電性高分子Pedot:PSSを試した結果、整流特性は得られていたが、変換効率の向上は見られなかった。
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