Pseudomonas sp. 61-3由来の低基質特異性のPHA重合酵素(PhaC1)、さらには、重合酵素の基質となる炭素数6以上の3-ヒドロキシアシルCoA(3HA-CoA)を脂肪酸合成経路から供給する3-ヒドロキシアシルACP:CoAトランスフェラーゼ(PhaG)の両遺伝子を導入したR . eutrophaの組換え株を作製し、耐衝撃性に優れた実用的なPHA、すなわち第2モノマー成分として中長鎖長の3-ヒドロキシアルカン酸(3HA)が取り込まれた共重合PHA、P(3HB-co-3HA)を二酸化炭素から合成・生産させることが本研究の目的である。 phaG遺伝子を導入したにもかかわらず、組換え株が合成したPHAの3HA分率は3 mol%以下であった。そのため、脂肪酸合成経路の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)を増強してやることで検討し、Pseudomonas aeruginosaのゲノムDNAよりACC遺伝子(accA、D、BおよびC)をクローニングし、これらの遺伝子をさらに導入した組換えR. eutrophaを作製した。しかしながら、PHAの蓄積率は数%であり、PHA鎖中への3HAユニットの取り込みはなかった。さらなる3HA分率の向上を目指して、P. aeruginosa 由来の推定3-ヒドロキシアシル-CoAリガーゼ遺伝子を新たに導入した組換えR. eutrophaの作製を試みている。
|