研究課題/領域番号 |
23651102
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
二又 政之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20344161)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 単一分子検出 / 表面プラズモン / 近接場ラマン / ナノ粒子 / 吸着 |
研究概要 |
近接場ラマン分光用高性能プローブの開発のために、(1)金及び銀ナノ粒子のサイズと形状を化学還元条件による制御を行った。(2)金属ナノ粒子をシリコン製カンチレバー先端に、静電的及び化学的相互作用により固定した。アミノシランおよびジチオールを用いて、金及び銀ナノ粒子を、カンチレバー先端に固定することに成功した。このとき、カンチレバーの先端をあらかじめタッピングモードにより軽く削ったのち、粒子を固定することで再現性が改善された。粒子の測定時の機械的安定性の改善を進めた。(2)チップ先端の金属ナノ粒子の形状、サイズ、や近接粒子の寄与、金属基板やチップ材質の空間分解能やギャップ電場増強度や共鳴波長への影響について、FDTD法により系統的に明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触媒の局所反応解析や、生体分子/溶液界面のin situ分析等のために、固液界面のナノラマンイメージング法の確立が必要である。本研究の目的は2つあり、❶超高感度・超高空間分解能ラマンプローブの開発:直径10 nmの金や銀のナノ粒子1個をAFM用カンチレバー先端に、静電的及び化学的相互作用により固定した。それをプローブとして、金属ナノ粒子と目的分子を吸着させた金属基板の間のギャップモードプラズモンを高効率に光励起することができた。❷金属ナノ粒子プローブに、生体分子を固定し、基板上に固定した生体分子との水素結合形成や開裂等の距離依存性を、分子軌道法と複合して、1分子感度で解析することを目指す:DNA塩基を用いてギャップモードを励起し、10^8-10^9のラマン増強度を得た。以上の結果、2年目において、ナノラマンイメージングの確立が大いに進展すると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
触媒の局所反応解析や、生体分子/溶液界面のin situ分析等のために、固液界面のナノラマンイメージング法の確立が必要である。本研究の目的のうち、❶超高感度・超高空間分解能ラマンプローブの開発において、形成したプローブや、予備的ギャップモード実験の成果に基づいて、単一分子感度及び10nm空間分解能でのラマンイメージングを進める。❷金属ナノ粒子プローブに、チオール付加したDNA鎖等を固定し、基板上に固定した生体分子との水素結合形成や開裂等の距離依存性を、1分子感度ラマンイメージングする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.超高感度・超高空間分解能ラマンプローブの開発:ナノ粒子形成用試薬、金属基板形成用蒸着材料(Ag, Au)、ナノ粒子固定用シランカップラー剤、AFMカンチレバー(100本)を購入し用いる。またラマン分光用シャープエッジフィルタなどの光学素子、転送光学系の改造、装置制御用パソコンの更新等を行う。2.生体分子への適用:金属ナノ粒子プローブに、チオール付加したDNA鎖等を固定し、基板上に固定した生体分子との水素結合形成するために、末端をチオール化したDNA鎖及びその相補的なDNAなどの試薬、アビジン-ビオチン系試薬、緩衝液調製用試薬等を購入する。また、ナノラマンイメージング測定用溶液セルの試作を行う。このほか研究成果発信や最新情報収集のための国内学会出張を行う。
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